FC2ブログ

浪漫@kaido kanata

. 「スプリング・フォンデュを君と」第3回

    第 二 章


 いきなり最初の行事がゴミ拾い!!
 それも地元老人会との合同作業。
 ゴム長とエプロン、ゴム手袋と手バサミが支給された。
 キャンパス近くを流れるせせらぎ縁(へり)のゴミを拾ってまわる作業である。
 春風の爽やかな、とてもいい陽気だ。せせらぎに沿って、桜と柳が交互に植えてあり、柳の新芽が美しい。


柳新芽の川へり

 まさに「季節を楽しむ同好会」うってつけの行事だ。
顧問のムカイ助教授も参加していた。
 すみれとツバキが挨拶すると、笑顔で応じてくれた。頭の良さそうな紳士だ。研究者の堅苦しさはまったくなく、朗らかそうで、まだ若い。

「桃がスカウトしたんだって?よくできたことだ、あのじじむさいヤツに」
 ふたりは黙って聞いていた。
「あいつは、あの通りイケメン中のイケメンだが、考え方がどうも、祖父母に育てられたせいか、古臭くてな、パッと見で寄りついてきた女の子にゲンメツされるんだ。ただの看板だ」
 またその話!!
「老人会メンバーと話してる時の方が生き生きしてるぞ」
 確かにおじいちゃん、おばあちゃんと話しながらゴミ拾いしている桃は、すごく楽しそうだ。
 彼がこんな「若年寄り」だったとは!!


            ☆


 やがて、二キロもゴミを拾いながら歩いただろうか。
「きゅうけいッスよ!」
 ダイちゃんの声が響き渡った。
 女の子ふたりがオレンジジュースの缶を皆にテキパキと配った。
「私たちもやります!」
 すみれとツバキも腰を浮かせたが、
「今度からあなたたちにも、やってもらうわ。今日はサービス」

なっちゃん 


 長い黒髪に、切れ長の美女メイちゃんが、にっこり笑って言った。
 こんな同好会に所属しているのが、勿体ない。
 春の陽射しは強い。皆、汗をかいていた。
 土手に腰を下ろしたすみれとツバキの横に、桃が座りに来た。
「ずいぶん、頑張ったね」
 おかげさまで、ふたりの持つビニール袋の中は、ビン、缶、その他であふれそうだ。
(こんなの、焼け石に水じゃない)
 すみれは少しふてくされた。
(こんな同好会、入ってもよかったのかな……?)


          ☆


「君たち、薬学部だろ?白衣着て、クスリの研究するのが夢?」
 突然、桃が尋ねた。
「い、いえ、べつに、なんとなく、成り行きというか……」
 ツバキがドギマギしながら答えた。
「なんとなく?もったいないな。俺の夢は絵本作家になることなんだ」
「医学生の桃兵衛……いえ、桃さんが?それは、また何故!?」
 メルヘンチックな絵を描くのが、子どもの頃から好きなんだ。医学部に入ったのは、じいさんの命令」
「そいつ、大病院のお坊ちゃんなんだぜ」
 やや遠くからジュンペイというイケメンが叫んだ。
(へええ)
 すみれとツバキは、しげしげと桃を眺めた。
 桃は陽光に輝くせせらぎに目を落としながら、静かに言う。
「俺、両親が子どもの時に死んじゃって、おばあちゃんに育てられたんだ。絵本作家の」
(ああ、それで)
 すみれは納得した。
(○○コンっていうヤツね)
「さ、もうひと頑張りしてくるか」
 桃が去った後、ジュンペイが土手を下りてきた。

溝端淳平 3


「あいつ、交通事故で両親を一遍に亡くしたんだ。それがトラウマでクルマの運転ができないんだ。それも、モテない理由のひとつ」
「!?!?!?」
 スピード狂のすみれには、考えられなかった。


           ☆


「ちょっと君」ムカイ助教授がすみれに声をかけた。「そのサングラスとマスク、何のイミがあるの?はっきり言って、ご老人方に失礼だと思うんだが」
「こ、これ……」
 戸惑いながらも、すみれ自身、もっともだと思った。
 ムカイ助教授が、両手をパンパンと大きく鳴らし、一同を呼び集めた。
「老人会の皆さん、この春から同好会に新しく入ってくれたふたりです。すみれさんとツバキさん」
 おじいちゃん、おばあちゃんが注目する中、ふたりは頭を下げ、すみれはしぶしぶサングラスとマスクを外した。
 皆の視線がすみれに集まった。
 すみれは、うつむき加減にニキビで腫れあがった顔で耐えていた。
「年頃だというのにのう」
「いやいや、これが青春のシンボルなんじゃよ」
「マスクなんかで隠すことなんかありゃせんよ」
 老人たちは、暖かい言葉で慰めてくれ、すみれは顔を隠して意固地になっていたことを反省した。
やがて、皆の努力の甲斐あって、川べりはきれいになった。


          ☆


 新緑の溢れるキャンパスの中庭―――。
 いつものように、芝生に腰を下ろしてすみれとツバキがお喋りしていると、桃がやってきた。
「きゃっ!ついに来るべき時が来たのかしらっ!?」
 ツバキが真っ赤になっている。
「あんた、あんな若年寄りでもいいの?」
「まだ、こんなの着けてるのか」
 急に桃の手が伸びてきてすみれのサングラスとマスクをそっと外し、小さなケースをよれよれのジーンズから探り出してきて、白い軟膏をすみれの額や頬、鼻の天辺、アゴなどに丁寧に塗りこんだ。
 無臭でベトベト感もなく、サラリとしている。
「これは……?」
「毎日、洗顔後に3回塗って。あ、洗顔は水だけでね。俺がおまじないかけて作ったんだ。きっと効くから」
「……」
 すみれは半信半疑で受け取った。

にほんブログ村 小説ブログ 恋愛小説(純愛)へ
にほんブログ村
comments
. コメントの投稿
  • コメント
  • パスワード (入力すると、コメントを編集できます)
  • 管理者にだけ表示を許可する
この記事のトラックバックURL:http://kaidokanata.blog51.fc2.com/tb.php/484-59f40a0d
. プロフィール

海道 遠(かなた)

Author:海道 遠(かなた)
小さい頃からお絵描き大好き
お話創るの、大好き
      ↓ 自然に
漫画家になりたい
      ↓
OLを退職。デザイン学校の漫画科へ入学
      ↓
家庭の事情で後、半年というところで退学、OLに戻る
      ↓
技量不足とひどい肩こり症のため、もの書きに転向
      ↓
結婚、妊娠、育児のブランクを経て再度ペンを持つ。
      ↓
が、コンクールに落ちる事、数知れず。
      ↓
諦めてアマの道へ

★著作★
 ペンネーム:海道 遠(かいどう かなた)
 「“海王の接吻”を抱きしめて」新生出版
 「CROSS」新風舎 
 共に全国出版、ネット販売しております。

★海棠結実(かいどう ゆみ) ペンネームで 

 【 遠雷去らず 】風詠社(鎌倉時代もの)
 全国ネット販売しております。
 

. お気に召したら1クリックお願いします♪
ブログランキング・にほんブログ村へ
. ☆初めてお越しの皆様☆


作品書庫(カテゴリー)からお入りいただくと、連載作品が第一回からお読みいただけます

. 作品書庫(カテゴリー)
. 相互リンク絵ブログ
島崎精舎さま
. 長崎祐子さま
. メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

. ☆当サイトバナー☆
Untitled2.jpg
. FC2カウンター
現在の閲覧者数: