FC2ブログ

浪漫@kaido kanata

. 「スプリング・フォンデュを君と」

   『モテない』がテーマです。
果たして、「モテない」が読者さまに伝わったかどうか?
それはかなり難しかったのですが、学園ラブ・コメとしては、大変楽しく書けました!!
 タイトル付きで夢で見たストーリーに枝葉をつけて組み立てただけです。


     【 スプリング・フォンデュを君と 】


        第 一 章


「今日はいつもよりぶっ飛ばすわねえ、すみれ」
 小柄なツバキがシートベルトを握り締めながら洩らした。
 愛車、ワ○ンRのハンドルを握るすみれの、サングラスの奥の瞳が血走っていることがよく分かる。


ワゴンR

「私たち、今日から花の女子大生なのよっ」
「わ、わかっているわよ、そんなこと」
「なのに、どーしてくれるのよ、この顔!!」
「どーしてくれるったって……」
 すみれは大きな悩みを抱えていた。
 中学の頃からできはじめたニキビがひどくなり、ニキビ面どころではないのだ。
 顔立ちが分からないほどひどい。今まであらゆる手を尽くし、いくつもの病院の皮膚科を廻ったが、ムダ足だった。
 中~高時代は、それが原因で友達からさんざん苛められた。
 その数々は、思い出したくもない!
 もちろん、彼氏いない歴、18年!!
 で、今日の大学の入学式もサングラスとマスク姿だ。



 たったひとり小学生時代からの親友、ツバキが、コンプレックスをよく知っていてくれていて、相談相手になってくれた。彼女がいなければ、イジメの日々は乗り越えられなかっただろう。
今日も顔を見られまいとするために、猛スピードでクルマを走らせているのだ。
「ママたちは?」
「さあ、後から来るでしょ。入学式なんてさっさと終わればいいのに!!」
 不機嫌極まりない。ツバキさえ、少し恐れを感じていた。


          ☆


『パプァ パプァ パプァ……』
 突如、あの独特の騒音が響いたと思うと、すみれのクルマは十数台の大型バイクに取り囲まれた。うっとおしい暴走族だ。朝っぱらから。
 皆、バイクに旗を立て、「宇因太亜」と書いたハチマキを巻きつけ口笛を鳴らしている。
 黒ジャンの背中にはド派手な冬将軍の刺繍!!
「よぉ、よぉ、ねえちゃんたち、そんなに急いでどこ行くの」
「あんたたちには関係ないでしょ!」
 頭に血の昇りやすいツバキが窓を開けて怒鳴りかえす。
「やめときなさいよ、ツバキ。あんなヤツらの挑発に乗ることなんかないわ」
「だってぇ」
「すぐに振り切ってやるから、待って!!」
 すみれは慣れたハンドルさばきで、細い路地へ入り込み、又、道路に出たりしてタカッてくるハエのようなヤツらをさっさとまいてしまった。
「さすがのお手並みねえ、すみれ」



         ☆


 族はヘッドが右手をあげた合図でバイクを止めた。
 ヘッドの男―――タナカは、メットを脱いで
「チッ、女のクセに」
 路上にツバを吐いた。


          ☆


 やがて、長ったらしい入学式が終わり、記念撮影に華やいでいる大ホールに、すみれは、さっさと背を向けた。母親の呼ぶ声が背中で聞こえたが、無視して駐車場へ急ぐ。
 ツバキが追いかけてきた。
「ね、そのままでいいから記念写真撮ろうよ」
「私がジョーダン嫌いなのを知ってるでしょ、ツバキ。誰がこんな格好で!」


          ☆


 キャンパス内は桜も満開、お祝いのムードで華やいでいる。
 各クラブ、同好会の勧誘も賑やかだ。



 すみれとツバキはその中を目もくれず突っ切ろうとしていた。
 いきなり、すみれの前に一枚のチラシが差し出された。フリルがいっぱいついた真っ赤な地に白いドット柄の衣装のピエロが、鼻にホオズキをつけてにっこりしていた。睫毛の長い美しい瞳だ。
 チラシには『季節を楽しむ同好会』と書いてある。
「なあに、この年寄りっぽい同好会は?」
 ツバキが吹き出しかけた。
 他に鮮やかな青とまっ黄色の衣装のピエロも寄ってきた。

ピエロ 赤

「お嬢さん方、ご入学おめでとうございま~~す!どう?俺たちの同好会に」
「何すんの、これ?」
「地域のご老人との交流が主な内容かな。ゲートボール、手作り菜園、幼稚園児との交流……」
 最後まで聞こうとせずに行こうとする、すみれの後を、ツバキは慌てて追いかけた。
「ね、すみれ、私、喉渇いた!あそこのテラス行こう。あそこだったら木立も多いし人も少ないから」
 仕方ないな、という風にすみれは足をとめ、ツバキとテラスに向かった。
 桜の花びらがちらちらと舞い落ちる中、ふたりは冷たいカフェオレを飲んでやっとひと息ついた。
「私たち、これからここで6年間、薬学部で学ぶのよ。絶対一緒に卒業しようね、すみれ」
「う、うん、まあね」
 マスクの下からストローを指し込んで、すみれは曖昧な返事をした。
「それにしても、さっきの同好会、老人会の間違いじゃないのかしらね?」
 ツバキが苦笑いした時である。

           ☆


 ドヤドヤと隣のテーブルにさっきの赤、青、黄色のピエロをまじえた数人がやってきて腰を下ろしたのだ。
「あ~~、俺、もう声、枯れちゃったよ」
「みぃんな、ムシしていきやんの」
 その中に、赤い帽子とホオズキの鼻を取ったさっきの青年を見て、すみれとツバキはぎょっとした。


【 きれい…… 】

 帽子を脱いで汗を振り落とすさま、短くもなく長すぎもしないナチュラルな黒髪が乱れるのはスローモーションに見えた。
 なんといっても、整った横顔!!
 こんな美しい青年を見るのは、ふたりとも初めてだった。
 日本人離れしすぎていないギリシャ彫刻のような高貴な顔立ち、それでいて冷たくない。むしろ愛嬌がある。友達と話している表情はまだ高校生のようだ。
 なんといっても笑顔が絶品だ。
 数分間、すみれとツバキは、ぼうっとその青年に目を釘付けにされていた。


にほんブログ村 小説ブログ 恋愛小説(純愛)へ
にほんブログ村
comments
. コメントの投稿
  • コメント
  • パスワード (入力すると、コメントを編集できます)
  • 管理者にだけ表示を許可する
この記事のトラックバックURL:http://kaidokanata.blog51.fc2.com/tb.php/482-046fe684
. プロフィール

海道 遠(かなた)

Author:海道 遠(かなた)
小さい頃からお絵描き大好き
お話創るの、大好き
      ↓ 自然に
漫画家になりたい
      ↓
OLを退職。デザイン学校の漫画科へ入学
      ↓
家庭の事情で後、半年というところで退学、OLに戻る
      ↓
技量不足とひどい肩こり症のため、もの書きに転向
      ↓
結婚、妊娠、育児のブランクを経て再度ペンを持つ。
      ↓
が、コンクールに落ちる事、数知れず。
      ↓
諦めてアマの道へ

★著作★
 ペンネーム:海道 遠(かいどう かなた)
 「“海王の接吻”を抱きしめて」新生出版
 「CROSS」新風舎 
 共に全国出版、ネット販売しております。

★海棠結実(かいどう ゆみ) ペンネームで 

 【 遠雷去らず 】風詠社(鎌倉時代もの)
 全国ネット販売しております。
 

. お気に召したら1クリックお願いします♪
ブログランキング・にほんブログ村へ
. ☆初めてお越しの皆様☆


作品書庫(カテゴリー)からお入りいただくと、連載作品が第一回からお読みいただけます

. 作品書庫(カテゴリー)
. 相互リンク絵ブログ
島崎精舎さま
. 長崎祐子さま
. メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

. ☆当サイトバナー☆
Untitled2.jpg
. FC2カウンター
現在の閲覧者数: