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浪漫@kaido kanata

. 「碧き琥珀に眠れ」序章・第1話

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 「碧き琥珀に眠れ」プロット

☆ テーマ キャスケードにジャレツを憎ませようとする竜蛇の総督。それに逆らって
キャスがどれだけジャレツを信じ通せるか。
竜蛇皇帝のクローンであることを苦しむジャレツ。
永遠に死ねぬ身体のリシュダインの苦悩とジャレツへの思い。
ジャレツとキャス両方を愛してしまったリダの切なさ.軽業への情熱。
アンバーヌとジャレツの悲恋、などなど。

☆ 「CROSS」の世界。「月夜の真珠売り」時点より二年後。

☆ 白鳳大陸の西端に位置する琥珀海岸。季節 冬

☆ 登場人物

キャスケード・・・・・琥珀海岸で助けられた美貌の若者。ジャレツの相棒。

リダ・・・・・・・・・琥珀回廊を巡業するサーカスの女団長。軽業をし、猛獣も操る。

モーガイ(猛凱)・・・竜蛇軍から派遣された琥珀回廊の総督。竜蛇皇帝のクローン。

マドカ・・・・・・・サーカス一座の蘭づかいの女。リダの喧嘩友達。

ロピ・・・・・・・・マドカの私生児。八歳の男の子。玉乗りが得意な腕白坊主。

パルドッサム・・・・サーカス一座の花形荒業師。リダに惚れている。

タルタルーガ・・・・サーカス一座の道化師。楽天家のおじさん。

カンナ・・・・・・・タルタルーガの女房。リダとマドカを母親のように見守る。

メレア公爵・・・・・琥珀城の老城主。海から引き上げた巨大な蒼き琥珀を有する。

カイドー(戒同)・・・竜蛇の秘密工作員。ジャレツと共に竜蛇の双の牙と呼ばれた。

幽鬼婆・・・・・・竜蛇皇帝に三代に渡って仕える参謀。かつては寵姫。

アンバーヌ・・・・碧き琥珀の中に太古から眠る乙女。

リシュダイン・・・竜蛇の少年皇帝。不死。老体のサナギから何度も生まれ変わる。

ジャレツ・・・・・キャスケードの相棒。元、竜蛇の軍人で人捜し稼業。 



  「碧き琥珀に眠れ」


            序章

帰して・・・・・

私を早く海へ帰して・・・・・

「アンバーヌよ、その碧い瞳にわしだけを映しておくれ」

誰の目にもふれぬ深い深い海の底へ帰して・・・・・・

「かわいそうに、胎児のように身体を丸めたまま悠久の時間を碧き琥珀に閉じ込めて」

早く・・・・!禍々しい三日月型の瞳に気づかれぬうちに、海の女神のふところ深く隠して・・・・

「永遠にわしだけのものじゃ。アンバーヌよ。今宵も老いさらばえたこの身体を琥珀の肌に寄り添わせて眠るとしよう。琥珀の温かさ、表面に刻まれた古代文字がこの老躯に憩いをくれる。永遠の乙女アンバーヌ・・・・・」

誰か、私を海へ・・・・・・
ジャレツ・・・・・・!
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    第 一 章 琥珀回廊のサーカス一座

 白鳳の都、スノウバードの喧騒は相変わらずだった。
 鄙びた泥濘の道をバイクでとばしている間は恋しくてしかたなかったはずなのだが、蜘蛛の巣状の都小路にはいりこんだとたん、濁り淀んだ空気にうんざりした。秋も終わりを告げようというのに、この熱気はどうだろう。
 この都は人種のるつぼだ。
 金髪碧眼がほとんどの白鳳人をはじめ、ココア色の皮膚の中央大陸人種、瞼と耳たぶが翡翠色の樹魂大陸人種など、種々雑多である。
 ひと目で敵国、竜蛇人種とわかる黒髪黒目のジャレツを見ても、道行く人々の表情は何ら変化がない。
 ふりむく人間がいるとすれば、それは彼の革ジャケットを通しても明らかな発達した筋肉のせいだろう。
 古ぼけたビルの谷間の石畳はゆるい坂だ。ジャレツは愛用のマシンをゆっくり転がしていった。
 今回の報酬はストレートで支払ってもらえた。行方不明人の捜索稼業にしては、一週間で目的を果たせた迅速さを評価してもらえた証だ。
 早くねぐらに帰ろう。
 しかし、山となった洗濯物と、パウダーシュガーをまぶしたような埃と流しにはゴキブリのベッドタウンと化した食器の斜塔が待っているはずだ。それと、
 「ジャレツさん、稼ぎはあったのかね」と、滞納分の家賃をせっつくイヤミな大家の内儀とが。
 バイクを置いて赤レンガのはがれた古巣のアパートの三階部屋へ帰りつくと、案の定、さっそくお内儀が通路につかえそうな身体で登って来た。
 「六ヶ月ぶんだったな、申しわけない」
 ジャレツが渡すと、彼女は指にツバをつけ、長い時間をかけて札を数えた。そして相手の胃の高さからじろりと見上げ、
 「六ヶ月のうち半分は留守にしてただろ。その分はいいよ」
 ジャレツは耳を疑った。珍しいこともあるもんだ。何かあるな。
 皮袋をベッドに放り出して、途中で買ってきた樹液水のボトルを開ける。ひと口飲んで、何が来るか身構えた。
 「その代わりと言っちゃあなんだけど」
 そらきた。
 お内儀はずらりとならんだ銀歯を見せて写真を取り出すと、
「いい話だよ。この娘、となり町の商家の娘なんだけど気立てが良くて料理が得意で、そりゃ器量はもうひとつだけど。そろそろあんたも人捜しなんてヤクザな稼業やってないで身をかためたらどうかねえ。いい歳した男がいつまでもひとり身じゃこの有様だし。ほら、洗濯物にカビが生えてるじゃないか。せっかく男色から足を洗えたことだし、この機会に」
 ジャレツは飲みかけていた樹液を吹き出し、お内儀のつまみあげた下着をひったくった。
 「誰が男色だって?」
 「だって、二年ほど前まであの憎たらしいキツネ色の若造と同居してたじゃないかね」
 「あいつはただの相棒だ。それに、俺もあいつも女無しじゃ一日も生きられんタイプでな」
 「だったらなおさら嫁さんもらいな」
 「せっかくだが、そりゃ青ワニにハコベを喰わせようってなもんだ」
 お内儀は口をつぐみ、相手の革ジャケットの内側に見え隠れする銃を、いかにも汚らわしそうな目で睨んだ。
 「女買う金があったら家賃にまわしとくれ」
 やぶへびだ。
 お内儀は一度返した金をジャレツからふんだくって出て行こうとしたが、エプロンから郵便物の束をひっこぬき、手荒に渡した。
 「はい、留守中の分だよ」
 ぶつぶつ言いながら階段を降りてゆく。
 相棒のキャスケードが、また旅先から酒場や娼館の請求書を送りつけてきたな。ジャレツは椅子の埃を吹き払い、腰を下ろした。予想通り請求書だらけだ。そのなかに見覚えのあるへたくそな字が混じっていた。
               ☆
 ジャレツへ

 紅亀月五十三日七刻
 飛翔アザラシ号でスノウバードの港 着
 
 何があっても迎えに来い。
 まさかマイホームパパになったりしてねえだろうな。

                   たぐい稀なる麗しき蘭
                      キャスケード
                ☆
 ジャレツは椅子を蹴って立ち上がった。
 「五十三日っていやあ今日だ!迎えに来いだと?これが兄貴分に書いて寄越す文句か」
 言葉とは反対に、今脱いだジャケットをひっかけながら、もう階段を駆け下りている。
 やっと階下へ辿りついたばかりのお内儀は、猛烈な勢いで抜かしていった男の背中を大きなため息で見送った。
 「やれやれ、いつになったら洗濯物が片づくことか」

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. プロフィール

海道 遠(かなた)

Author:海道 遠(かなた)
小さい頃からお絵描き大好き
お話創るの、大好き
      ↓ 自然に
漫画家になりたい
      ↓
OLを退職。デザイン学校の漫画科へ入学
      ↓
家庭の事情で後、半年というところで退学、OLに戻る
      ↓
技量不足とひどい肩こり症のため、もの書きに転向
      ↓
結婚、妊娠、育児のブランクを経て再度ペンを持つ。
      ↓
が、コンクールに落ちる事、数知れず。
      ↓
諦めてアマの道へ

★著作★
 ペンネーム:海道 遠(かいどう かなた)
 「“海王の接吻”を抱きしめて」新生出版
 「CROSS」新風舎 
 共に全国出版、ネット販売しております。

★海棠結実(かいどう ゆみ) ペンネームで 

 【 遠雷去らず 】風詠社(鎌倉時代もの)
 全国ネット販売しております。
 

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