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浪漫@kaido kanata

. 三浦春馬イメージ 小説「サマルカンドの娘」1

 古代より多くの国の勢力が蹂躙し、馬蹄にかけ築かれた
ブルーモスクの林立する青の都、
中央アジア、ウズベキスタンにあるサマルカンド。

サマ 青の廟



 観光客はもちろん、外国からの留学生は多い。
 どこの国とも変わらず、市場は賑やかだ。
客を呼び込む商いの声、ロバやラクダのいななき。
祭りが近いので、いつもより活気づいている。

市場の中


 「ぼやぼやするな、ダフォーラ、早く並べちまいな」
  果物市場で、汗を垂らして力仕事をしている娘がいる。
 青年は足を止めた。荷運びの手を止めた娘の瞳と視線が合い、
しばらく見つめあった。
 みすぼらしいなりの娘だが、普通に見かける娘と、どこか違う。
「おい、置いてくぞ」
 連れの青年に呼ばれた青年は 市場を後にした。
市場から砂埃の中をしばらく行くと、寺院の立ち並ぶ一角だ。
相変わらずの観光客だ。
 連れと別れた青年は、角で背後から声をかけられた。
 さっきの市場で見かけた娘が 肩で息をして立っている。
手の中には見覚えある財布をもって差し出している。
「落としたでしょう」
「ああ、ありがとう」
 青年は照れて受け取る。


 四、五人の荒々しい足音が砂煙を巻き上げてやってきた。
「このアマ、祭りの前に逃げ出そうったって、そうは行かんぞ」
 娘の後を追ってきたらしい。品の悪そうな、目つきの鋭い男たちだ。
 青年は受け取った財布から何枚か札を取り出して男のひとりに握らせた。
「案内してもらう。今日一日借りるぞ」
「ちぇ、仕方ねえ」
 男たちは 青年と娘を睨みつけてから、去っていった。
「どういうこと?あなた、わざと財布を落としていったでしょう」
 青年の口元に、ふと笑みが浮かんだ。
「逃げ出したかったみたいだから。切羽つまった顔して」
「え」
「歩きながら話そう。観光客に混じって」
観光客や物売りの喧騒がふたりを包んでいる。

「留学生?マドラサの。この国の人ではないわね」
「通りすがりだよ」
「どうして見も知らない私を」
「だから、逃げ出したいみたいだったから。
~~何かとても嫌なことでもありそうだ。今にも息が止まりそうな顔をしてるよ」
「戻らなきゃ。あなたのヒマつぶしに付き合ってるわけにいかないの」
 踵を返す娘の腕をがっしり青年は握っている。
「わけを話してくれ」
 仕方なく、という様子で娘はぽつりぽつり口を開いた。
「祭りの……この古都に昔から伝わる
大切な祭りの巫女に選ばれてしまったの」
「そ、そりゃ、名誉なことなんじゃないのか?」
「表向きの巫女はね。でも、ひとりだけ秘密裡に、
廟の奥まったところにある古井戸に人身御供として身を捧げなければならないの」

モスクの前の娘




 泣きそうな娘を前に、青年は、クッと笑った。
「人身御供だって?いつの話だよ」
「嘘じゃないわ、からかってないわ!
私は祭りが終わった日の午前零時に井戸に行かなければならない」
 噛みしめられた唇が震えている。

「もし、君が行かなければ?」
「寺院の井戸の神が怒って、水を溢れさせ、サマルカンドを水びたしにするわ」
「この砂漠の街を?こんなに太陽が照りつけているのに?あっはっは」
笑う青年の頬を、娘は思い切り、ビシャリとやった。
「信じないなら、とっとと消えて」
 青年は痛そうにぶたれた頬をおさえ、
「だいたい、人身御供なんて野蛮なこと、今時、あるわけが」
「あるのよ。私の瞳の色、ほら、碧いでしょう?他の人は黒か褐色なのに。
井戸の神が欲しがってるらしいの。それに……」
「それに?」
「言うことをきかなければ、私の家族まで村人から迫害される」
「そこまで言うんなら、行って確かめてみようじゃないか」
「どこへ」
「廟の奥の井戸とやらへ。だよ。本当にあるのかどうか」
「怖いわ。人身御供までに井戸へ行ったら、神が荒ぶるかも」
「大丈夫だよ。そんなのみんな、言い伝えさ」


※マドラサ 宗教教育の専門機関
★★このお話では touristの三浦春馬氏の画像をお借りしましたので、
 東南アジアと中央アジアのサマルカンドとでは風俗その他異なりますが
 雰囲気だけ楽しんでいただければと思います。


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. プロフィール

海道 遠(かなた)

Author:海道 遠(かなた)
小さい頃からお絵描き大好き
お話創るの、大好き
      ↓ 自然に
漫画家になりたい
      ↓
OLを退職。デザイン学校の漫画科へ入学
      ↓
家庭の事情で後、半年というところで退学、OLに戻る
      ↓
技量不足とひどい肩こり症のため、もの書きに転向
      ↓
結婚、妊娠、育児のブランクを経て再度ペンを持つ。
      ↓
が、コンクールに落ちる事、数知れず。
      ↓
諦めてアマの道へ

★著作★
 ペンネーム:海道 遠(かいどう かなた)
 「“海王の接吻”を抱きしめて」新生出版
 「CROSS」新風舎 
 共に全国出版、ネット販売しております。

★海棠結実(かいどう ゆみ) ペンネームで 

 【 遠雷去らず 】風詠社(鎌倉時代もの)
 全国ネット販売しております。
 

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