張幕に奏姫が戻ると、そこには明国からの客人が来ていた。立派な身なりから察するに宮廷に仕える宦官らしい。だが、供の一人も連れていない。疲れ果て砂埃にまみれた姿から察するに、彼は、命からがらここまで辿り着いたようであった。
「将帥…!おお、やっとお会いできた!」
彼は、アロタイの足に抱きつかんばかりに平伏した。が、アロタイは冷ややかに見下ろしたまま尋ねた。

「何があったのだ」
「暴露されてしまいました!我々の関係を…」
「一体誰に」
「臥龍と申すものが我々のつながりを嗅ぎつけ、私は敵であるタタールと内通した裏切り者として、国を追われてまいりました」
奏姫は幕の陰で息を呑んだ。長い間自分の心の中でしか聞くことのなかったその名前を耳にしたのだ。
アロタイは一瞬目元をくもらせたがすぐに表情を和らげた。
「遠路、さぞかしお疲れであろう。ここの陣営は安全だ。貴公はまずゆっくりと休まれるがよい」
宦官の顔にようやく安堵の色が浮かんだ。彼は、タタール兵に案内されて用意された幕舎へと向かった。だが、それを見送るアロタイの眼には、誠意のかけらもなかった。それを見てとった奏姫は、
(あの宦官の命は朝までは無いだろう。急がねばならない)
と思った。
日暮れを待ち、奏姫は、侍女を装って幕舎に近づいた。番兵は奏姫から馬乳酒を受け取ると、さっさと引き上げていった。
「あなたは?」
青白い顔をした宦官は、ぎょっとして奏姫を見た。
「お静かに。怪しい者ではございません」
奏姫は、彼に近寄り話を続けた。
「このままここにおられれば、貴方さまのお命が危のうございます。闇に紛れてここを抜け出すのです!私がご案内いたしましょう」
宦官はすぐにその意味を察したらしく、その顔を更に青白くさせた。
奏姫は、宦官を連れ出すと、あらかじめ用意させていた二頭の馬にそれぞれ乗り、満天の星の下を必死の思いで東へと駆けた。
ちょうど東の空が曙に染まりはじめた頃、奏姫ら二人は、まだらに叢の点在する岩山を見つけた。どうやら、この脱出には、天が味方をしてくれたようである。ようやく馬を止め、追っ手が迫っていないことを察すると、二人は小休止することにした。
「いったい貴女は…」
宦官は、ここまでが限界だというような表情で馬から降りるや、その場にへたり込んだ。
「そのようなことはどうでもよいこと。それより」
岩陰に馬を隠すと奏姫は彼に詰め寄った
「お教えください。あなたさまとアロタイの間に何があったのか」
「何のことでございましょう」
「この期に及んで…」
奏姫は懐の短剣を抜き、宦官の眼前に刃を見せ付けた。
「ここまで逃げてきたからには私も死を覚悟してのこと。お話くださらねば…」
宦官の喉仏の無い首がごくりと鳴った。
「わかりました…何もかもお話いたしましょう」
彼の話は、奏姫の心を打ちのめした。地平から昇ってきた日輪が光の矢を放っていたが、その中にあってさえ、彼女の頬の色は生気を失いかけていた。
=====<中天@編集部作品>=====
原作・監督・総指揮・キャラクター原案 ...海道 遠(YUB)
校正・脚本・演出 ...真先裕
リライト・挿絵 ...まもと鶴
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☆お楽しみ企画・
臥龍さんは何型?&
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このネタ、描いた時は「旬」だったんですよ〜。
もう遅い?
ヘタこいた〜?!

あくまでパロディですので…
これがカナの知ってしまった衝撃の真相ではありません。