FC2ブログ

浪漫@kaido kanata

. たこ焼きのターコ

      たこ焼きのターコ


「今、あたいの中に入ったの、何?赤くてベチャベチャしてる!!」
ターコが 思わず叫んだ。

たこ焼き中



「そりゃ、もしかして、キムチってもんじゃないかな?」
隣の大きめのたこ焼きが 鉄板の中でゆっくり温まりながら のんびり応えた。

たこ焼き屋の 屋台の裸電球に照らされた 夜である。


おやじ 1

ターコは慣れない 赤いものを入れられて 泣きそうだ。
「いやだわ、こんなの 初めて」
「おや、ワシには 肉の塊が入ってきた!!」
今度は たこハチが 叫んだ。
「何のお肉でしょ?タコじゃなくて 茶色くて 揚げ物みたい」
「ああ、それは きっと」横から オクトパス夫人が 横目で囁いた。
「鶏の唐揚げよ」
「鶏の唐揚げ~~~!?」
「ええ、そうよ。お隣の鶏肉店で いつも 売ってるの」
ターコとたこハチは 顔を見合わせた。
「なんだって 今日は こんな いつもと違うことされるんだ!?」
「そういえば、最初から いつもと違ったわ、たこハチさん。
生地を練りこまれる時から水じゃなくて 《お茶》だったもの!!」


「《お茶》!?」
 次の瞬間、
「キャッ、なに、これ!?」オクトパス夫人の叫びが 響き渡った。「チョコだわっ!!あ~あ、あっという間に 溶けちゃった!!」
「ちょこれ~と~??」

関西人の母



その時、鉄板上のみんなに大量刻みキャベツが ぶち込まれて 口がきけなくなった。
お茶で溶かれた小麦粉の汁が 入れられて 順番にキリで ひっくりかえされる。
じゅうじゅう 焼けてきた頃、たこハチがボソッと言った。
「おい、どうやら、今日はそこ、目の前で待っている お客さんの《特注》らしい」
「目の前で 待ってる お客さんって―――」
 ターコは オドロキのあまり 鉄板から 5センチほど ハネ上がった。


 ―――――― こんな 人間 見たことない!!


(私たちを 買いに屋台にやってくる 人たちと一緒なの?)
と、思わず 叫びたくなるほど なんとも たとえようのない 美しい青年が 鉄板を見つめて輝く瞳で待っているではないか!!
(こ、この人に私、食べられるの……???)
それでなくても じゅうじゅう焼けているのに、ターコは お風呂に入ったことはないが、のぼせ上がって 眩暈さえ感じていた。

店のオヤジが 
「もう いい頃かな?」
どんどん キリで ブスブスと ターコたちを舟に乗せていく。
ターコは 真っ先に 舟に乗せられ、ソースをハケで塗られ、青のりとけずりカツオブシをたっぷり 降りかけられて 舟のハジッコに 爪楊枝を ブスッと 突きたてられた。
「へい、お待ちッ!!」
 たこ焼き屋の オヤジが青年の前に舟を置いた。


「ありがとう、ヤケドしそうだ」
青年は にっこりして 両手で大切そうに 舟を持ち上げた。

「お~~い、ターコ、その美青年に食べられるのか~~?」
と、たこハチ 少し ひやかし気味。
「羨ましいわね~~」
と、ヨダレ垂らしそうな オクトパス夫人。
ターコはドキドキして 待っているだけだ。
やがて ふうふうと ペパーミント色の息を吹きかけられた ターコは
ついに 青年の爪楊枝に突き刺された。
そして 口元に 近づいていく―――。

たこはる




(お茶でこねられようと、キムチを入れられようと、この人に食べられるのなら 
 何度でも お店の鉄板で 焼かれるわよ~~~)

その後の ターコの体験は ターコにしか わかりません……
判っているのは、その小さな屋台に その美青年が ヒンパンに 姿を現していたということだけです。

   2012年 7月    海棠結実

にほんブログ村 小説ブログ SF小説へ



. プロフィール

海道 遠(かなた)

Author:海道 遠(かなた)
小さい頃からお絵描き大好き
お話創るの、大好き
      ↓ 自然に
漫画家になりたい
      ↓
OLを退職。デザイン学校の漫画科へ入学
      ↓
家庭の事情で後、半年というところで退学、OLに戻る
      ↓
技量不足とひどい肩こり症のため、もの書きに転向
      ↓
結婚、妊娠、育児のブランクを経て再度ペンを持つ。
      ↓
が、コンクールに落ちる事、数知れず。
      ↓
諦めてアマの道へ

★著作★
 ペンネーム:海道 遠(かいどう かなた)
 「“海王の接吻”を抱きしめて」新生出版
 「CROSS」新風舎 
 共に全国出版、ネット販売しております。

★海棠結実(かいどう ゆみ) ペンネームで 

 【 遠雷去らず 】風詠社(鎌倉時代もの)
 全国ネット販売しております。
 

. お気に召したら1クリックお願いします♪
ブログランキング・にほんブログ村へ
. ☆初めてお越しの皆様☆


作品書庫(カテゴリー)からお入りいただくと、連載作品が第一回からお読みいただけます

. 作品書庫(カテゴリー)
. 相互リンク絵ブログ
島崎精舎さま
. 長崎祐子さま
. メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

. ☆当サイトバナー☆
Untitled2.jpg
. FC2カウンター
現在の閲覧者数: