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浪漫@kaido kanata

. 三浦春馬 イメージ小説 ハナカマキリは見ていた 1

            その一


水色ねっく


(デカい!なんてデカいんだ。オレよりアタマ半分、背が高い!)
(カタハバ、がっちり!)
(大きなアーモンドアイが吊り上がってる……。こ、怖い……)

菜々緒成人式


蘭太郎は チラと見上げ、テーブルの向こうの女性に怯えていた。
(真っ赤な口紅の唇も、喰われそうにデカいし、ガタイもデカい!!
なんて威嚇的な女だ!!)

 (やっぱり、引き受けなきゃよかったかな……?
 仮にも見合いだっていうのに、こんなに睨みつけるなんて)

―― これが オレの見合い相手。
 ネットのお見合いとかじゃなくて、今どき、親に泣きつかれての見合いだ。


 とろりとしたアメ色の室内に、キラキラしたシェードのシャープで繊細な照明が
ゴブラン織りのワイン色の椅子やじゅうたんに降り注いでいる。

アグネスホテル ラウンジ


 人々の談笑が流れてくる。ホテルのラウンジだ。
 威嚇的な見合い相手の女は、いかり肩に似合いもしない振袖姿だ。
着慣れていないことは、男の蘭太郎でも判る。


(「蘭太郎、にっこりして」…って、、この女の方がにっこりどころか!!
 一応、見合いなんだから、ここまで睨みつけなくてもいいと思うが。
 緊張しまくりなんだろうか。どうやって愛嬌を想像しろというんだ)
 
 (どーして、こんなことになっちまった!?)
(やっぱり、あのひと言だ。オヤジとお袋の)

「お願いだ。わしらにマゴを見せてくれ!!」
(何、言ってんだよ。ふたりともハナカマキリの研究に夢中で
50歳同士になってから、やっと結婚したくせに。
 まだ、27歳のオレに結婚しろ、だと?マゴの顔が見たいからだと?)

 両親が土下座しにやってきた日のことを蘭太郎は 思い出した。

ローズの花の上のハナカマキリ


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. 三浦春馬 イメージ小説 ハナカマキリは見ていた 2

      その二

かたより


八十歳に手の届く両親ではあるが、カメラを持って、
年がら年じゅう、ジャワ島やスマトラ島へ通っている。

八千草 赤むらさき



 ふたりとも花に擬態して 餌を捕らえるハナカマキリの大ファン。
 いや、ハナカマキリが神様なのだ。
 それで、生息地の東南アジア通い。

ハナカマキリ 二匹


 ハナカマキリは 一センチくらいの小さなカマキリだが、
蘭の花に擬態して、花に隠れて餌になる昆虫を待ち構えていて
食べ物の昆虫を捕食する。

(オレは本当に、この親たちの息子なんだろうか)
(この世の中で「カマキリ」が死ぬほどダメなオレの……)

(確かにオレは 昆虫は大好きだし、大学の生物学部でカブトムシの研究をしている。
しかし、カマキリだけはダメ!生理的にダメ!)

(3歳くらいの時、大型のメスに鼻先を咬みつかれたトラウマもある。
 それ以来、あの三角の顔と、カマを持ち上げるポーズがゾッとする)

(その時、ふと気づいた。気づいてしまった。
 見合い相手の女性のたもとの下、膝の上に隠されているのは、
 ハナカマキリのゲージだと―――!)


びっくり目

さつき みどり カマキリ


「うわあああああああああああっ!」

 ホテルのラウンジに響きわたる絶叫。


 「お願いだ、ランタロー。見合いしてくれ。
この前、ハナカマキリの卵の孵化を目撃して
たくさんの赤ちゃんカマキリを見て、急にマゴが欲しくなったんだ」
「オヤジ、なんだって?
カマキリみたいにうじゃうじゃ子どもが生まれるハズないだろう。
オレは人間だぞ」


 鼻息荒く 断った。が、
「そこを、なんとか!」
オヤジもお袋もその場に土下座した。
「ふたりともやめてくれ!第一、オレはGFさえ……」


「だから見合いしてくれと。
お相手はハナカマキリの研究をしているぴったんこの女性だ」

池松君との雑誌で はるま 寝転ぶ

蘭太郎の頭上からデカい岩が落ちてきて、床に叩きのめされた。

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. 三浦春馬 イメージ小説 ハナカマキリは見ていた 3

           その三


 (我が家の基準は すべてハナカマキリなのか?)
 蘭太郎はモンゼツ、憔悴するほど悩む。


観念するか


 さすがに自宅には 蘭太郎に遠慮して居間やリビング、玄関などには
ハナカマキリの写真は 飾られていない。
 だが、両親の部屋にはありとあらゆるハナカマキリとふたりの
東南アジアジャングルでの写真が デカデカと飾られている。

カマキリ 絵画


 時には ハナカマキリが入ったゲージが並んでいる。

 扉の向こうにアイツらが、蠢いているのかと思うと耐えられなくなる。
 そういうわけで、蘭太郎は高校の途中から家を飛び出した。

「どうして、あの子は ハナカマキリの魅力を解かってくれないのかしら。
花か蝶々みたいにエレガントな生き物なのに」
 母親はいつもため息だ。
「蘭太郎」という名前も ハナカマキリの別名「ランカマキリ」からきている。
 それを思い出すとじんましんが出そうになる。


 両親の土下座事件からほどなく、母親が蘭太郎のボロアパートにやってきた。
「どうしてそんなにハナカマキリが嫌いなの」
「じゃあ、母さんたちはどうしてそんなに アイツらが 好きなんだ?」
 50歳まで結婚するのを忘れるほど夢中になるなんてオレには分からないよ」


「好きに理由も何もないわよ。結婚相手も、ハナカマキリも」

同列なのか



「え?」
(結婚相手とハナカマキリは同列なのか、お袋の中で!)

 すっかり白髪の母親の表情が少し和らいだ。
「あんたは、まだ恋をしたことがないんだね」
 蘭太郎は、ぐっと詰まった。

「あんたが ハナカマキリを毛嫌いしてるのも深い理由なんかないでしょう。
じゃあ、この勝負、一回、受けてたってみなさいよ」
「勝負?」

鬼の面と 八千草
ピンク ハナカマキリ



「そう。今回のお見合いの相手は勝負よ。
あなたも男なら土俵に出て、堂々と勝負してみなさいよ」
 母親の眼が 三角∴になって 爛々と燃え盛った。
 まるで、餌を狙うハナカマキリの眼だ。

(お袋って、こんなに 迫力あったっけ((((;゚Д゚)))))))           


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. 三浦春馬 イメージ小説 ハナカマキリは見ていた 4

               その四

 ~~~で、今、オレの目の前に慣れないピンク色の着物で座っている
女性と向き合っている。
それにしても、イカつくデカい。目つきも鋭く、怖い。

「大鎌梨々亜と申します」
(おおがまりりあ?大鎌……オオガマ……?本物のカマキリ女か?)
 動悸と息切れと目眩がしてきた。

お腹おさえる

菜々緒 赤い菊の着物すがた


「お母様が女手ひとつで育てられた、お嬢さんよ」
 蘭太郎の母親が紹介する。おおがまりりあとかいう、この女性の母親も付き添っている。
「蘭太郎さん、よろしくねえ~~え。りりあの母でございますぅ~~~」

木の実 はで



 こちらは また、なんとケバいほどまばゆい
ゴージャスファッションのおばさまではないか。娘の方がおとなし気だ。
(しかし、膝にハナカマキリのゲージを抱いてる)
 蘭太郎は生きた心地もしない。



「あ、このハナカマキリちゃん、ハナハナっていうんです。
ちょっと弱っていて目が離せないものですから、連れてきてしまいました。
お気になさらず」


(お気になさらずだと?)
 蘭太郎は 吐き気さえ覚えた。
 (どうしてこんな目に合わなきゃならないんだ、オレの人生はオレが決める!
 ~~なんつって……母親の「勝負してみなさい!!」
のひと言にウマウマと乗せられてしまったからだ……。両親の思うツボ……)

「ワ、ワタクシ、女らしいことは何もできませんし、
お見合いも結婚も考えていませんでした」
大鎌というこの女、意外とおどおどして声が小さいではないか。
「では どうして?」
「お名前に惹かれたからだけなんです。
蘭太郎様という。ハナカマキリが大好きな蘭の花と同じ名前なので――」
 背筋がゾワゾワした。

ローズの花の上のハナカマキリ


 ハナカマキリが食料の昆虫を捕獲する時に使う蘭の名前をオレはつけられたのだった。
「名前に惹かれるなんて、なんとドラマティックなんでしょ!」
 大ヨロコビで叫んだ母親が立ち上がって大鎌なんとかって女の両手を握りしめた。
 堪えきれなくなった蘭太郎は 紅茶のカップをガチャンと置いて、
ホテルの庭に飛び出した。

偏差値 うわ~~

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. 三浦春馬 イメージ小説 ハナカマキリは見ていた 5

               その五

 いきなり、ケータイが鳴った。研究室の松守准教授からだ。

 カビくさい研究室のドアをノックすると、見慣れた部屋の一角に松守が待っていた。
 「実は昨夜、予定より一週間早く子どもが生まれてしまってね」

ディーン 笑う




 三十、過ぎたばかりの松守は、照れくさそうに報告する。
「そ、それはおめでとうございます」
 部下の研究員たちも口々に祝いを述べ、バンザイ三唱だ。
「女の子なんだ。蘭子と名付けようと思う」


「蘭子!」

 とたんに「大鎌梨々亜」のことを思い出した蘭太郎は 真っ青になった。
 これもハナカマキリと何か繋がりが?

春馬 青い びっくり



 咳払いをひとつして、松守は向き直った。
「オレ、育休を取ろうと思ってるんだ」
「イ・イクキュウですか?」
 一同、唖然とした。松守は ハナカマキリの研究が命。
 何があっても、研究室で飼育している昆虫たちを365日、監視している。
 家庭の事情で研究を休むなんてことは あり得ない。

 蘭太郎はホッペをつねってみた。

「そこで、だ」松守の大きな手が蘭太郎の両肩をつかんだ。
「イクキュウの間、オレの大切なハナカマキリちゃんの産卵と孵化の世話を、
ぜひ、君にお願いしたいんだ、蘭太郎!」
「そ……そんな、重大なことを!」
「蘭子」と聞いた時の悪い予感がドンピシャ!
「な、なんでオレ、いや、ボクが?ハナ……ハナカマキリだけは
 ぜ~ったい、ダメってよくご存じでしょうが」



 ひきつる蘭太郎の顔面。
 デスク脇のゲージの中から ハナカマキリが三角の顔でじっと見つめていた。
(まるで 大鎌梨々亜に「遊園地連れてって」と言われてるみたいだ)

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 蘭太郎の頭の奥の遠い記憶が鮮明なカラーを伴ってきた。


 小学一年生の頃だった。
 入学して、すぐに転校してしまった女の子。
 小柄な蘭太郎よりアタマひとつ大きい、ツインテールの子だった。

ランドセル ツインテール

桜と校舎

 桜が散り始めて明るい春の陽に、花びらが散っていた。

「やだあ 学校なんて行きたくない!」
ツインテールの子が登校途中の道で母親の手をふりほどいて立ち止まった。
「どうしてあなたは、いつもママの言うことを聞いてくれないの?
ご飯の時もあれキライ、これキライ、幼稚園のお道具もお遊戯もキライ。
選んだ洋服もランドセルもキラい。
 何が気に入らないの?いつだってママは あなたのために……
もう、あなたなんか、産まなきゃよかった!」

 『あなたなんか産まなきゃよかった』


 陽がかげるように、天地が暗転したかのように、女の子の顔が強張った。


 蘭太郎も どっきりして立ち止まった。
 母親の顔も暗転していて、ぐっと娘を見つめていた。
 その表情は、娘への愛情と憎しみがない交ぜになっていた。
「もう、知らない!ママ、仕事に行くから自分で好きにしなさい!」
 娘を置き去りにしてハイヒールの音も高く行ってしまった。
 女の子はランドセルをしょったまま、顔を両手で覆って校門の脇にしゃがみこんだ。
 他の子どもたちがじろじろ見ながら、校門へ吸い込まれていく。

 (泣いてるのかな?なぜか、放っておけない……) 
蘭太郎は近寄った。

「行こうよ。もうすぐ、ベルが鳴るよ」
つられた蘭太郎も 涙が出そうになった。

べそかき 春馬



話しかけると、バネ仕掛けのおもちゃが 急に
動き出すように立ち上がった女の子は
「あんたなんか 嫌い!」
と、叫ぶなり一目散に学校とは逆の方向へ走っていってしまった。

 名前もはっきり知らないうちに、しばらくして女の子は転校していった。

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. 三浦春馬 イメージ小説 ハナカマキリは見ていた 6

  その六

 恐怖のお見合いの日から一か月。
 蘭太郎は 育休中の松守准教授の研究室に通っている。
 目の前には 信じられないことだが、ズラリと並んだハナカマキリのゲージ。
 ハナカマキリに慣れたわけでは、決してない。

う~~ん うめぼしあご はるま


 決め手は 松守准教授の

「お前、落第しかけたのを、オレが二度も助けてやった恩を忘れてないよな?」
の、言葉。

(くそ~~っ!松守のヤロー、優しい顔して脅迫かよっ)
 いやいや引き受けざるを得なかった。
 毎日、サイアク苦手なハナカマキリを見つめる(観察する)
仕事をやる破目に……。
 ま、確かに蘭の花みたいに 美しい?
けど、これが カマキリの一種だと思っただけで背筋が寒くなるんだが……。



「この子、オレの一番、お気に入りの美人、リリアだ。よろしくなっ」
 バーン!!と、松守に肩を叩かれた。
(リリア?どこかで聞いたぞ……)
「あ~~~?」
 蘭太郎の大声は 研究室の外の廊下まで響き渡った。
「あの見合いの女、大鎌梨々亜!あの女と同じ名前!」
 あたふたとゲージの前から 逃げ出したところで
 大きなクッションみたいなものとぶつかって顔面が埋まりこんだ。
 吊り上がった目の大鎌梨々亜が 無表情で見降ろしていた。

菜々緒 黒いワンピ



「どうして、あんたがここに?」
「突然すみません。ハナカマキリの産卵に挑戦されると聞いて、
いてもたってもいられなくなって、お手伝いさせていただこうと」
 三角の鉄仮面みたいな大鎌梨々亜は 少し恥じらって頭をかいた。
「あのう、お見合いのことは別に考えてくださって結構ですから」
「当たり前だろっ」
蘭太郎の脳天から また怒りが噴火した。

はなかまきり 威嚇的


 その日から梨々亜は リリアのゲージにくっついて飼育の雑用をやり始めた。
 その献身的な愛情はハンパない。
 今まで会ったことのある梨々亜は まったく着慣れていない振袖すがた。
 もともと、おしゃれに関心のあるタイプと思われなかったが、
上下のジャージ姿に寝袋まで持ち込んで毎夜、泊まり込みだ。


「君、何もそこまでしなくとも、松守さんに頼まれたボクが立場ないじゃないか。」
 蘭太郎の言葉にも梨々亜は 晴れやかな笑顔で 

「いいえ、リリアちゃんから目を離すなんて 私の気持ちが許せませんから。
それに松守准教授には、蘭太郎さんの第一助手にと、私、指名を受けております」


カップ ディーン



(ま、松守、いつのまにっ)
 寝袋の中から 覗かせる熱心な吊り目に言い返せない。


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. 三浦春馬 イメージ小説 ハナカマキリは見ていた 7

その七

 やがて――
「リリアちゃんの産卵が始まりました!」
 いきなり人間の梨々亜から 蘭太郎に電話がかかってきた。

びっくり はるま 



「今、すぐ行く!動画撮影しといてくれ」
 電話を切るなり、夜、風呂から上がってばかり、
急いでTシャツとGジャンだけ引っかけ、
夜の道を大学へバイクを飛ばした。

オレンジ 夜のバイク



 研究室に飛び込んだものの、ハナカマキリのゲージを前に鳥肌が立ってしまった。
「蘭太郎さん、リリアちゃんが 卵のうを枝に産みつけちゃいましたよ」
 珍しく、けたたましい梨々亜の声。
ゲージの中に入れてあった 熱帯産の大木の幹に茶色い卵がある。
「卵をこっちのゲージに移しましょう」
 悪寒をこらえて立ちすくむボクに代わって、梨々亜がテキパキ動いている。


 梨々亜は細心の注意をはらって、リリアの産んだ卵を
別のゲージに枝ごと移動した。
 まるで宝物を扱う手つきだ。
「どうか、リリアの赤ちゃんたち、無事に育ってよ」
 両手を組み、その手に額を押し付けている姿は真剣そのものだ。

(どうして、ここまで思いを寄せなくちゃならないんだ?)
 首をかしげすぎ、蘭太郎は スジを違えそうだ。

 大柄な梨々亜が 目に涙を浮かべてリリアと卵をかわるがわる
愛しそうに眺めている姿は蘭太郎には 理解できないでもないが……。

菜々緒 涙



「そんなに可愛いのか」
「そりゃ、そうですよ、命ですよ。命!
ワタシ、これでも母性本能は人の10倍くらい持ってるつもりです」
蘭太郎をたじたじとさせる迫力で、それでいて目じりが垂れさがっている。。
 そして、その後、ぼそりとつぶやいた言葉。

出ちゃった婚 はるま


「ワタシも このくらい愛されたかった……」

「???」
 涙声のような?
 いったい、彼女のハナカマキリへの熱い思い入れは何なのだろう?


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. 三浦春馬 イメージ小説 ハナカマキリは見ていた 8

                  その八

  松守からは 研究室のPCに頻繁に送られてくる育パパ日記(笑)
 二世の毎日の育っていく様子、クビが座ってお宮参りなどなど~~~。

ディーン 子と



「う~~ん、完全に育パパになってるな。
オムツ替えから洗濯、寝付かせのトントンまで」
 研究員たちは ニヤニヤ笑っている。
「あの、ハナカマキリの鬼が やっぱりわが子の親ってわけか」

 そんな中、梨々亜の叫び声が、

「た、た、卵の孵化が始まりましたあああ!!」

 一同、卵のうのゲージに走り寄った。

シャーレのハナカマキリ幼虫
指先の花カマ



 1センチほどの卵のうから 小さな小さなカマキリがうじゃうじゃ産まれてきている。
 薄ピンクの親とは 全然違う赤と黒のバイカラーだ。
「やったあ!!松守さんに電話しなきゃ」
 ハナカマキリが大嫌いなはずの蘭太郎まではしゃいでいる。

なぜか 心九郎
<いきなり 心九郎さま仕様>

 電話に出た 松守は感無量だ。
「そうか、ついに孵ったか。我が家のベビーとおんなじだなっ」
 自宅のPCで 動画を見ながら松守が叫んでいる。
「みんな、みんな、ありがとうっ!」


(これが、ハナカマキリの孵化か。。。話には聞いていたけど、
カブトムシみたいに幼虫にならずにいきなり虫になるんだな)
 蘭太郎は 初めてその光景を見た。
赤ん坊は小さすぎて、全然、怖くない。
そればかりか命の誕生を目前にして胸の高鳴りを覚えている。
 梨々亜も 吊り上がった目じりを下げて泣いていた。

ななお 笑顔

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. 三浦春馬 イメージ小説 ハナカマキリは見ていた 9

              その九

 研究室に客人があった。
 ケバい中年の女性だ。ビビッドカラーを着ている。
 (見覚えがあるような?)
 蘭太郎は そう思いつつ、
「あっ!」
 っと叫んだ。
 お見合いの席にいた、梨々亜の母親ではないか。
 
黄色黒 木の実


「研究室の皆様、大鎌梨々亜の母でございます。
この度は 娘がおじゃましまして、大変、お世話になっております」
 丁寧に挨拶した。
 当の梨々亜も驚いたようだ。
 たじろいでから 母親の横に立ってペコリとおじぎした。

「ハナカマキリの卵が孵ったそうね。
梨々亜さん、あなたの大好きなカマキリの孵化が見られてよかったわね。
「……」
「さあ、気がすんだでしょ。あなたの研究室はちゃんと自宅にあるわ。
皆さんにご挨拶して、もう帰りましょう」
 娘の腕をつかんで 出口へ引っ張っていこうとする。



「いやよ、私、この子たちがちゃんと育つまで観察したい」
「そんなワガママ言ったら、蘭太郎さんにもご迷惑よ。
嫌われてお見合い断られても知らないわよ」
「いやです、ママ、私はここに残ります!」
「あなたって子は どうして 小さい頃からいうことをきいてくれないの」
 母親の声が 昂った。

菜々緒 おセンチ


競馬の 




(どこかで見た光景だぞ……)
 蘭太郎の脳裏に子ども時代のことが飛来していた。

(「産まなきゃよかった」)

(あの痛烈な言葉をくらっていた女の子か……)

 やっと思い出した。
( 母親にひどい言葉を言われていて、すぐに転校していった
女の子だったのか……大鎌梨々亜)


(小柄な女の子だったのに、今は上背も高くいかつい感じになってる。
目が吊り上がってるせいで そう見えるのかな?)

 
「やっと卵から孵ったばかりの、こんな小さなカマキリの
赤ちゃんたちを見捨ててしまうことなんてできません」
 梨々亜が叫んだ。
「見捨てるわけじゃないでしょ。
ここは皆さんの研究室であなたはお邪魔させてもらってるだけなんでしょ」
 母親は 昔と変わらず、高飛車だ。


『お母さん、かまいませんよ、梨々亜さんにいてもらってください』
 PCから 松守准教授の声が飛んだ。
『ボクはハナカマキリを心から愛しているからわかるのです。
梨々亜くんもボクと同じ思いだ。お母さん、どうぞ、彼女の好きにさせてあげてください。
いや、ボクからお願いします』

 PC画面で松守教授がガバと頭を下げ、背中の赤ん坊がずり落ちた。

ディーン こどもに ちゅー

ふんぎゃ~


「ふんぎゃ~~」


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. 三浦春馬 イメージ小説 ハナカマキリは見ていた 10

               その十

 それでは ということで、後しばらく梨々亜は、
ハナカマキリの幼虫たちと一緒にいることになった。
 ゲージの中で無数のハナカマキリの赤ちゃんが 
ツートンカラーで 動き回っている。
「松守教授、それならボク、帰らせてもらいます」
 蘭太郎が言い放った。

ブラマン アタマに手を



「だって、大鎌くんが准教授に頼りにされて飼育を頼まれたんじゃ。
もうボクはお役放免でしょう。もともと、乗り気じゃなかったし……」
「蘭太郎さん、あなたがいてくださらないと、困ります」
 梨々亜がウデにぶら下がった。
「だって…」
 彼女の吊り上がった眼から 涙がポロポロと溢れた。
「あなたが ここに来られるから私も押しかけてきたんです。
決してカマキリだけに惹かれてやってきたんじゃないのよ」
「え?」
 蘭太郎の心臓がぶるん、と震えた。
「じゃあ、梨々亜、あなた……」
 帰り支度をしていた母親が足をとめた。


「お見合いする気になったのも、相手が蘭太郎さんだったからよ」

 「オレのこと、知ってたの?」
 梨々亜はコクンとした。
「だって、私の味方になってくれたもの。あの春の学校へ行く道で」

やさしい顔の菜々緒


 子ども時代の追想。

「オバさん、なんてことを言うんだよ、
子どもに向かって『産まなきゃよかった』なんて!!
オレがそんなこと言われたら家出してやるっ」
 「ま、まあ……」
 娘を置いて、立ち去りかけていた女性は 
いきなり男の子に咬みつかれてボーゼンとしていた。

いかる少年 イラスト
イモムシのおもちゃで遊ぶ男の子



「見ろよ、オバさん!このイモムシだって一生懸命、
葉っぱを食べて大きくなろうとしてるよ。この子だって。
 イモムシの母さんのアゲハ蝶もきっと、そう願ってる。
『産まなきゃよかった』なんて思っちゃいない」


 涙でぐちゃぐちゃの顔になった女の子がボーゼンと立っていた。


ボクいた 白いセーターで



「オ……オレ、あの時、そんなこと言って、イモムシ見せた?」
 大人になった蘭太郎がきょとんとした。
「言ったわよ。蘭太郎さん。それまでに怖いだけだった母が、
あの時を境に私の気持ちに添ってくれるようになったの。
だから、私の恩人。
偶然、お見合いの話が来た時には 大ヨロコビしたの」

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. プロフィール

海道 遠(かなた)

Author:海道 遠(かなた)
小さい頃からお絵描き大好き
お話創るの、大好き
      ↓ 自然に
漫画家になりたい
      ↓
OLを退職。デザイン学校の漫画科へ入学
      ↓
家庭の事情で後、半年というところで退学、OLに戻る
      ↓
技量不足とひどい肩こり症のため、もの書きに転向
      ↓
結婚、妊娠、育児のブランクを経て再度ペンを持つ。
      ↓
が、コンクールに落ちる事、数知れず。
      ↓
諦めてアマの道へ

★著作★
 ペンネーム:海道 遠(かいどう かなた)
 「“海王の接吻”を抱きしめて」新生出版
 「CROSS」新風舎 
 共に全国出版、ネット販売しております。

★海棠結実(かいどう ゆみ) ペンネームで 

 【 遠雷去らず 】風詠社(鎌倉時代もの)
 全国ネット販売しております。
 

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