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浪漫@kaido kanata

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. 竹あかり・笙子(しょうこ) その一

★まえおき★

今回のお話は 登場人物のイメージを
特定しません。
仮に 金城武氏の画像をお借りしました。
他の人物のイメージについても同じく。

和傘と 竹灯篭


その一
<漆黒のひとり言>


 瞳に映るのは、闇の中に 点々とともる、飴色の灯り。
 あの時の色だ。
 幻想的な飴色の灯が 細工を施した竹筒の中から洩れている。
 星の数のような 竹筒の数だ。
 山や竹林や 寺の境内や 町の小路にいたるまで。
 見物客は老若男女、引きも切らず。

 なんと平和なおとぎ話のような光景だ。

下むき加減に たばこ吸う 武


 煙草がまずい。何度、ライターを鳴らしてもまずい。

一年前のあの夜、喉が灼けつくよう、冷や汗だけが 全身、止まらなかった。
 太ももが 激痛でちぎれてしまいそうだった。
 歯を食いしばり、シャツの片袖を引き裂き、太ももに巻き付けて縛った。
 ひたすら、観光客に気づかれないよう、気配を消しながら。

 俺の瞳の中の灯は、あかりではなく炎だ。
 今もそれは消えてはいない。
「俺には 倒さなければ、こっちが殺られるヤツがいる」
 しかし、それは、しばし置き、
 約束の灯のところへ行かなければ。




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. 竹あかり・笙子(しょうこ)その二

その二
<紅 べに>

竹の精、あかり、と 女は名乗った。

一年前の晩秋だ。あずき色の着物、無造作にくるくると
結い上げたかに見える黒髪、
しかし、それは なんと艶めかしい結い方か。
 対称的に青白いほどのうなじ。

キツネの面の女


 女の瞳にも竹灯りが揺らめいていたが、明日の命をも知れぬ、
野犬のように怯えていた。
(誰か、助けて)と、女の眼は訴えていた。


「何さ、こんな路地裏でのたれ死にでもする気かい?」

壇蜜 見つめる


 しかし、吐いたセリフは 威勢を張っていた。
 野犬というより、キツネか。
瞳の中の灯は キツネ火か。
肉厚の唇には、椿のような鮮やかな赤桃と、薔薇色、
上下べつべつの紅が乗せられていた。

 しなだれた若竹のような細い身体なのに、
白いクビに、ひょいと俺の腕をかけて歩き出した。

「狼みたいな にいさん。その咬まれたキズの手当してやるよ」

 容貌からは似つかわしくない、しゃがれた声だ。


 場末、飲み屋の屋根裏みたいな狭っ苦しいところへ
引きずっていかれ、口に含んだ焼酎を傷口に吹きかけられ……

「うあ“あ”……」

思わず洩れそうになった悲鳴を、女の唇が塞いだ。
唇から 火が点き、命ギリギリの状況なんか おかまいなしに、
むさぼりあった。

金城 KISS





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. 竹あかり・笙子(しょうこ)その三

その三
<約束>

ライトに光る たけし


竹細工 風車



 朱い風車が 二本たてられた、格子窓の目じるしをみっつ先の角。
 もみじに くり抜いた灯りの竹筒の前で落ち合おう、と 約束した。

 わざと 命の恩人とケータイの連絡先さえ交換していない。
「あかり」としか分からない。本名も住まいも。
 俺だって 何も明かすつもりはない。

 ただ、あの夜、あの女の手当を受けていなかったら、
俺はとっくの昔にオダブツだっただろう。
 恩を感じる気持ちが残っていたのか……
 こんな 両手を血で染めた俺にも……

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 約束の時間が迫っていた。
 黄昏の紫が濃くなり、やがて漆黒となった。
足元から冷え冷えとした 精霊みたいなものが這いあがってくる。

山門と竹あかり 広島


竹灯りの筒が 暖かい飴色に輝き始めた。
 観光客が 楽しそうに雑談しながら行き交っている。
 和装のカップル、親子連れ――。


 俺には まるで影絵のように見える。

 通りの外れ、町家の塀に寄っかかって、一年前の下駄の音を待っていた。
 あの時は 傷の痛みで意識が朦朧としていたが、
あずき色の着物の女は素足に下駄を履いていたように思う。
 なんとかいう大正時代の世俗画に描かれている女、そっくりだった。

夢二 紅い着物



 夜の世界に生きる女だ。
 もみじの柄の袖が 汚れるのもかまわず、手当してくれた。
 手慣れた勇ましい素早さだった。




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. 竹あかり・笙子(しょうこ)その四

その四
<トレンチの女>

 いきなり、ブレーキの甲高い音が闇に響く。
白い車体が石畳の上に止まった。
 ヘッドライトの眩しさに、思わず目を細める。
 カツ―ン、と、石畳の上にヒールの音。
 降り立った人影は 黒いトレンチコートの上背のある女。
 長く、豊かな栗色の巻き毛を背中へ投げ、ヘッドライトを消した。

黒い 壇蜜


「本当に来たのね」
 ひどい掠れ声、あの声だ。
「来るとも。あの時、世話になっていなければ、俺はあの世行きだった」


 しかし……これが、「竹の精」と名乗った、大正時代みたいな女か?
 うなじの白さを見せていた、着物の女とまったく違う。
 長い髪も、まっすぐではなく波うっている。

見つめる 金城



「そんなに 見ないでよ。私に間違いないわよ。漆黒のにいさん」
 ギラリと光る瞳がキツネだ。あかりに間違いない。
 唇が 紅い椿色と 薔薇色なのが間違いない。

竹原の竹 灯り




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. 竹あかり・笙子(しょうこ)その五

その五
<業火の瞳>

「今日は 別れを言いに来た」
 ふたり、同時に放った言葉に、お互い苦笑した。

武 苦笑


「俺はいよいよ、逃げ切れなくなった。あんたは?」
「仇を討って、差し違えるつもりさ。あたいの恋しい人の命を奪った奴とね」
 その瞳は 揺らめくどころか、復讐の業火が めらめらと燃えている。

「たまたま、今日がかたき討ち実行寸前の日だったのか。
穏やかじゃないな。素人の女じゃないと思っていたが」

「……そうさ。一年前の夜、あんたと出逢う寸前に、
あたいの愛おしい人は 殺されちまった」

黒い壇蜜 深い瞳


 水面(みなも)に 投げた 小石がぽちゃんと
小さく落っこちたように、言い捨てた。
「あんたの本当の名は?」
俺の問いに 女は何も答えない。

「もうすぐ、この竹灯篭の灯のように夜が明ければ 
散ってしまう命よ」
 命を投げ出すつもりだ、この女。
 女の瞳は 業火の先―――
 清々しく(すがすがしく)さえある。
「乗るかい?」
 女が 尖がったアゴで愛車を示した。

オレンジの新車



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. 竹あかり・笙子(しょうこ)その六

その六
<あかり>
 まるで 竹灯篭の甘い蜜のようなとろりとした色が 
血の色のように濃くなり、
ひとつずつが流れになって押し寄せ~~
飲まれるような~~そんな愛撫だ。

だんみつ あえぐ
夜、緑の竹林


 暗闇の林の中での情事は、
一年前のくちづけなど……ちろちろした、狐火でしかなかった。


 女は何度も白い喉をのけぞらせているのに、
これはどうしたことか。
 俺の方が蹂躙されてるみたいじゃないか。
溶岩流……熱を帯びた女の身体は、俺だけでなく、
何もかも溶かしてしまう溶岩流だ。


 からみあわせていた四肢が 草むらに投げ出され、
ようやく大きな息づかいだけが辺りに響く。
 女の頭(こうべ)の重さが ずしりと来る。
「あの灯、あたいたちを窺ってるみたいだよ」


 竹林の隙間から見える竹灯篭を指さして、
女は 下着を胸元に寄せた。
「まるで、闇どくろが黄泉の国から、覗いているみたい~~」

悪ロイヤリティ フリーフォト


女は、ぶるっと身を震わせ、
「このまま、ふたりでいられたら――」
 そこまで言い、ハッと唇に手を当てた。

  金城 肩を抱く


 無粋にも、ケータイが短い音を立てた。
 敵が近いらしい。いよいよ、俺も年貢の納め時か。
「さんざん 危うい道を歩いてきたが、最後にお前さんと出逢えて良かったよ」
「あたいもさ、漆黒のにいさん」

 濡れているように重い、豊かな巻き毛がヘビのように
俺の腕に巻きついている。



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. 竹あかり・笙子(しょうこ)その七

その七
<雪女>

 沈黙がしばらく暗闇に満ち―――、
「最後にバカなこと、しちまったけどね……」
 舌打ちしたいような、あかりのため息だ。

リターナーより 緊迫 たけし

「……なんだ?」
「一年前の竹灯篭の夜、傷ついてる狼みたいな男を助けた」
 上半身起こして 向き合った女の眼は、情事の後で潤みながらも冷やかだ。
「俺のことだろう」
「そうさ。あたいの愛しい人の仇とも知らずにね」
「……」
「そうともさ。あたいが手当てしてやった傷は、あの人が撃った銃弾だったのさ」
「……!!」


涙する 壇蜜


 まるで、正体を明かした雪女だ。
「お前……闇どくろの女だったのか、あかり……」
 睨みあった。
「ああ、闇どくろは あたいを地獄のような泥沼から 救い出してくれた。
カタギじゃない、あんな酷い男でも、あたいには恩人だった。
あんたの凶弾に貫かれて逝っちまった」
「じゃあ……」
「今夜は その仇を討つために、あんたに会いに戻った」
 女の手には、短銃が握られている。

壇蜜 ハジキ


「自分の不始末にケリをつけるためにね」
 あかりの瞳の色が哀しい。
 竹灯篭の灯よりも、もの悲しい。

大分竹あかり




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. 竹あかり・笙子(しょうこ)その八

その八
<白露>

「撃つがいい。それで、お前の気がすむのなら。覚悟はできている」
 シャツに手を通し、女の肩にもトレンチコートを着せかけてやった。
 竹林の足元にはびこっている熊笹の群れが 風にどよめく。

壇蜜 うつむく


 女は銃を握ったままだ。
「どうした。銃爪(ひきがね)を引かんのか」
「……」
「それが、お前の目的だろう。汚名をそそぐためだろう」
 おそらく、闇どくろを殺ったヤツを助けてしまったと判ってから、
この女は闇どくろの配下から
相当、屈辱的なリンチを受けたに違いない。
 俺を憎み、己(おのれ)を呪っただろう。
 今夜、俺を確実に始末しなければ、自分が消されるに違いない。

赤い 金城


 撃てばいい。この世に何の未練もない。

 あかりの白い腕が どろりと下がった。
「撃てない……。あたいは、漆黒のにいさん、あんたに毎夜、温めてほしい。
そんなことを、さっきもあんたに抱かれながら思っちまった」
 濃い睫毛の先に、白露のような涙がふくれては落ちた。


闇どくろのことを、恩人だなんて言ってるが、
この女、ヤツの 囲い女のひとりにしか思えん。

本当は 配下のリンチを恐れているだけで
闇どくろに 恩も何も 感じていないのかもしれない。

あの男の身辺のことは 嗅ぎまわったから 分かる。


金城 ウインターソング



 トレンチコートごと、抱き寄せた。
 ふたりの吐く息が湯気のようだ。

 「笙子……って、呼んどくれ」
 白くなった唇から 小さな願いが洩れた。



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. 竹あかり・笙子(しょうこ)その九<最終回>

その九 
<笙子>

金城 薄暗がり シリアス


「どうした、撃てねえのかっ!
このアマ、役立たず!」

いきなりの太い怒号が消えたと思ったら
竹林に男、数人の黒い影が竹あかりの光をさえぎって、
立ちはだかっていた。
いくつもの銃口が、青白く光って、こちらを向いている。

「やめて、この人を撃たないで!」
ハスキーな女の声が涙に濡れて、艶めき
響く。

むっとする 壇蜜


「あの夜、闇どくろを 撃ちぬいたのは、あたい!!
 このあたいだ。 あんたら、ハジキの種類も判らないくらい、
 テンパってたのかいっ!!」


爆弾宣言に、ギョッと なったのは、配下の男たちだけではなく、
俺もだ。

いかりのたけし


「闇どくろの親分に さんざん世話になりながら!!」

「アマ、少しでも生き延びられただけでもありがたく思えっ!」

辺りに 白い煙が 立ちこめ始める。
男たちの下っばの若いのが、わざと乾いた下草に火をつけたらしい。
パン、パン、という銃声は、派手なサイレンの音に打ち消された。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

煙に驚いた、竹灯篭の街の人々が 慌てて消防車を呼んだらしい。

消防団のバタバタと出動していく足音が 林の中まで
響いてくる。
スピーカーの怒鳴り声、人々のどよめき。
子どもの声の泣き声。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

弾が 掠めたのか、女はくずおれた。

「あたいを 虫ケラほどにも扱わなかった あの男は
 やっと この世から 竹灯篭の灯と一緒に 消した。。。。」

頭(こうべ)ごと、女の身体を抱きとめると、夜気に冷えた髪の毛が 
しっとりと重い。

あかり……笙子の手が、爪が食い込むほど
俺の腕をつかんでいた。

その手を、押しつぶしそうなくらいの力で 握り返し、
俺たちは 立ち上がった。

切ない たけし



「行こう、笙子」
女の瞳の中に 竹灯篭の暖かい 飴色に包まれた
俺の顔が 見える。

その夜、飛んでいく 季節はずれの蛍のように、
林の闇に消え去った男女の存在は 誰も知らない。

竹灯篭の街は あかりが消えると 冬支度に入る―――。

1っ本の竹あかり


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. プロフィール

海道 遠(かなた)

Author:海道 遠(かなた)
小さい頃からお絵描き大好き
お話創るの、大好き
      ↓ 自然に
漫画家になりたい
      ↓
OLを退職。デザイン学校の漫画科へ入学
      ↓
家庭の事情で後、半年というところで退学、OLに戻る
      ↓
技量不足とひどい肩こり症のため、もの書きに転向
      ↓
結婚、妊娠、育児のブランクを経て再度ペンを持つ。
      ↓
が、コンクールに落ちる事、数知れず。
      ↓
諦めてアマの道へ

★著作★
 ペンネーム:海道 遠(かいどう かなた)
 「“海王の接吻”を抱きしめて」新生出版
 「CROSS」新風舎 
 共に全国出版、ネット販売しております。

★海棠結実(かいどう ゆみ) ペンネームで 

 【 遠雷去らず 】風詠社(鎌倉時代もの)
 全国ネット販売しております。
 

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