FC2ブログ

浪漫@kaido kanata

. 三浦春馬 イメージ小説 黒髪の総督――媚薬の花

              序  娘の回想

シャチ おこる


 どよめき。
 地の底から 沸き起こってくるような それは、最初は かすかに、
 次第に 身体の芯を揺すぶるように しっかりと、伝わってきた。
 民衆の足音。何百、何千、いえ、何万もの怒りに満ちた 涛(なみ)。

 ついに来たのだ、その時が!!

ブルガリアの砦


 いつ、とは判らぬくらい、ずっと昔―――気の遠くなるほど悠久の果てから、
この惑星に 巣食っている侵略者。
 傍らで 眠りの妖精に魂を 縛りつけられている男の端正すぎる横顔、
枕元に広がる長い黒髪。

シャチ 横顔


 これが、長く奴隷たちに 恐れられてきた 
鉄の城のあるじの寝顔とは。

 そして、その悪魔の城塞、総督府。

 今まで 何百回となく 反乱が起きても決して 
滅びることのなかった牙城。

 絶対に滅びることはないと言われた 鉄の要塞(とりで)

 いにしえより、民衆を 奴隷を虐げ、苦しめ、
その血と汗と涙と……
怨みの念の上に 君臨してきた―――

 その城の、最後の日がついに来たのだ……。

しおれる 白い翼の天使 少女




<イメージ>

 黒髪の総督―――― 三浦春馬

 奴隷の少女 ――― ???




にほんブログ村 小説ブログ 恋愛小説(純愛)へ


. 三浦春馬 イメージ小説 黒髪の総督――媚薬の花 一

(……)

誰かが 私の名前を呼んだ。
誰?
…… ああ、これは 夢だわ。夢の中で聞こえた声よ。

あの雄々しい、若い狼のような声。

シャチ 真剣 半分の顔


でも、こんなに懐かしい 呼び方をされたのは初めて。

だって、生まれ落ちた時から 奴隷小屋の中。

母親とは すぐに 引き離され、まるで家畜を 飼うように
最低限の食物だけを あてがわれ、少しでも 労働らしきものが出来る
ようになると、大人に混じって働かされた。

周囲の大人たちは 疲れ切って、その眼に 諦めと 怨みしかなく、

小さな女の子に かける 労わりの言葉なんか持ってやしなかった。

ひとりひとりに名前があることさえ、誰も忘れてしまっている。

砂漠の労働場 1
雲間の新月


彼らは 私たちを記号で呼んでいるからだ。

 だが、記憶の深奥では、引き離される間際、母親が絶叫する
私の名前を憶えていたのだ。
まだ 産まれて間もない 赤子だったというのに。
なんと不思議なことだろう。

身体から 光の文字 弾ける女性


そして、その名前が 初めて他の人間の声で呼ばれるのを、
私は 聞いたのだ。



にほんブログ村 小説ブログ 恋愛小説(純愛)へ


. 三浦春馬 イメージ小説 黒髪の総督――媚薬の花 二

(……)
シャチ 真剣な顔


 まただ。なんて深い。暖かい声だろう。
 すぐにも この身をゆだねれば、ふわりと包んでくれそうな、
慈愛に満ちた……。

 あなたは 誰?
 思わず 心の中でつぶやくと、
(お前に 頼みがある。小さな娘よ)

心の芯まで蕩けてしまいそうに 暖かい。

 頼みって なあに?

 でも、私は 手も足も 重い鎖で 繋がれていて、何もできないのよ。

(できる。お前にしか できぬことだ。
 お前、自由になりたくはないのか!?)
 

そりゃあ、なりたいわ、でも。

黒い翼の 女の天使 ぐったり


(でも?)

 なれるはずがないわ。今まで数えきれないくらい反乱が起きても、
 鉄の城は びくともしないし、不老不死の総督も 
危険に脅かされたこともない!

 ましてや、討つことなんて!

 だって、総督は この惑星に来て以来、もう何百、いえ、
何千年もその帷(とばり)の
外に出てきたことがないと言うわ。

 今となっては、その顔を 見た者さえ無いのよ。
 そんな鉄の護りに 固められた奴を、
どうやって 斃す(たおす)の?

黒っぽいペガサス 崖の上


 奴が死ななければ 私たちは 決して自由になれないわ。

 鉄の城が 陥落しなくければ、私たちは 人間に戻れやしない!!
 

でも、鉄の城は 言い伝え通り決して 陥ちることはないし、
あるじの総督は 死を知らぬ 化け物なのよ。


<イメージ>

 黒髪の総督―――― 三浦春馬

 奴隷の少女 ――― ???



にほんブログ村 小説ブログ 恋愛小説(純愛)へ




. 三浦春馬 イメージ小説 黒髪の総督――媚薬の花 三

(……)
 呻きに似た 声が、激情に任せていた 私の言葉を鎮まらせた。
が、その異様な 驚きは すぐ先ほどの暖かい調子に戻り、

茫然 シャチ



(さればこそ、お前のその桎梏(しっこく・手かせ、足かせ)を
解き放つ術(すべ)を、そして鉄の城を
陥とす策を授けてやろうというのだ)


―― 何ですって!?

足首の縄



(総督に花を投げよ。さすれば 奴は やすやすと お前を 
城の内側へ招じ入れるだろう。
そうして、そのまま、奴の寵愛をせしめて 城に居座り、
次の反乱の際、
お前が内側から 城門を開けば……)


 鉄の城が 陥ちるというの?

 ”媚薬の花”って何?

問おうとするが、声が出ない。

長い黒髪の面影が土壁に映ったかのような 気がした。

~~~~~~~~~


 眼を覚ました 時は 全身、ねっとりと した 脂汗に
まみれていた。

 重い腰を上げ、ゆっくりと開く眼に 映ったものは―――

 この、地獄のような 奴隷小屋には 到底、
似つかわしくない宝石のような花束だった。

ムラサキ花束


 薄ムラサキの可憐な、小さな花びらと やや濃い蕊(しべ)が 
壁板の隙間から射しこんできた朝の光に輝いて、
真珠のように、キラキラと。


 夢の続きだろうか。

まるで、旅の語り部から 洩れ聞いた 
踊り娘のように きらびやかだ。

シャン、シャン、シャン、という音まで 海に聞こえてきそうな。

二刀流の美人



これが、まさか ”媚薬の花”……??

<イメージ>

 黒髪の総督―――― 三浦春馬

 奴隷の少女 ――― ???



にほんブログ村 小説ブログ 恋愛小説(純愛)へ




. 三浦春馬 イメージ小説 黒髪の総督――媚薬の花 四

度重なる 奇跡が ほどなく私の耳に届いた。
 総督が 奴隷の働く作業現場を視察するらしいのだ。

伊吹五月さん 女の子 地味



 奴隷たちは 不安を隠しきれず 恐れおののき、噂した。
< 総督が 鉄の城を 出てくるそうな>
<恐ろしげな 貌(かお)じゃそうな>
<背の曲がりきった老鬼じゃぞ。>
<その黄色い、禍々しい眼光に 射られると 身体が動かんようになるぞ>
 <いや、頭が狂ってしまうんだ>


 様々な想像や 憶測が 飛び交ったが、誰ひとり真実を知らなかった。

なにしろ、総督が 姿を現すのは、有史以前と言っても よいほど
昔のことなのだ。

群舞の中のシャチ


 そして その日は やってきた。
 照り注ぐ 陽射しの下、護衛兵の高らかな お触れの声が
 響き渡った。

「総督閣下のお越しだ―――」
でかい 馬の像ふたつ
獅子のかざりつき輿



四方を 純白の布で覆われた 輿が 
十数人の奴隷に担がれてやってきた。

やがて それは 止まり、布がチラリと開けられたが、
私たち奴隷は 全員、その場に 土下座させられ、顔も上げられない。
じりじりと 焼け付く 太陽の下、時間だけが 過ぎていく。


<イメージ>

 黒髪の総督―――― 三浦春馬

 奴隷の少女 ――― ???




にほんブログ村 小説ブログ 恋愛小説(純愛)へ



. 三浦春馬 イメージ小説 黒髪の総督――媚薬の花 五

 つと――――
 側近らしき者が 輿の担ぎ手合図を送るのが 眼に入った。

茫然と立つ シャチ


 行ってしまう!!

 今、この瞬間を逃しては―――!!
 弾かれるように立ち上がった。輿に走り寄り、
 ふところの花束をつかむや、渾身の力を込めて投げつけた。

 花々と共に、わが運命もろとも――。


 それは いっそう キラキラ輝きながら
 輿の天蓋に ぶつかり、跳ね返って乾いた砂の上に、

 パサリ……と 落ちた。

散らばった花束


 人々の眼は しばし それに吸いついて時間は止まる。
 しかし、護衛兵の荒々しい動きで たちまち、我に返らされ、

 寄ってたかって 後ろ手に 縛り上げられ――――

 声をふりしぼって 叫ぶのが やっとだ。

「”媚薬の花”よ!! 
お前の存在は 偽りなのか!!」
絶望的 白人少女



 もうダメ!!

 私は この場で 首をはねられる。
 そして後には 何事もなかったかのように征服者の下、

 奴隷たちが 黙々と使役され、
命を擦り減らされる日々が続いていく―――。


後ろ手にしばられた 女



 私のちっぽけな骸(むくろ)は 小動物のそれのように
 打ち捨てられ、朽ち果てるまで熱風にさらされ、
惑星の土に還る―――。


十字架を地面にさす 絶望的な人物



 やはり、何者かの悪戯(いたずら)だったのだ。
”媚薬の花”など!!

 ――― 奴隷たちが ざわめいた。
 
 兵たちの手は 緩められていた。



<イメージ>

 黒髪の総督―――― 三浦春馬

 奴隷の少女 ――― ???



にほんブログ村 小説ブログ 恋愛小説(純愛)へ





. 三浦春馬 イメージ小説 黒髪の総督――媚薬の花 六

……シャラン。。。。
シャチ 真剣
葉っぱが バックの腕輪をした腕



 涼し気な 金属音。
 その衣に縫いつけられた 夥しい宝石たちから洩れた音だろうか。
それとも、腕、音、耳から―――??

 いや、装身具なのか、身体の一部なのか、
それさえも定かではない。

 なんと、眼も眩むような 麗しい姿。
 背中の中ほどまで 垂らされた長い長い 真っ直ぐな黒髪。


 まるでそこだけが 周囲の灼熱の世界から まったく
 遮断された 空間でもあるかのような。

 それが、この惑星の征服者、呪われてあまりある
 不老不死の総督、その人だった。


 果たして 物を映すことができるのか、ガラスの翡翠色の瞳が
ゆっくり 足元に向けられたと思うと、路傍の花束を捉えたようだ。

ムラサキ花束



 袖口から 白く長い指が伸び、それを拾い上げる。
 忍びやかに、典雅に……。

 花束が 持ち上げられたことで、やっと その人に
実体があるのだと、誰もが理解できただろう。

「此は、そなたが……?」

 蝋(ろう)のような 頬に花影が映り、薄紅が灯った。
モノクロ メイク


 花は ますます、凛として 美しいが、
それさえかすんでしまうほど、
 魂を凍りつかせるような 戦慄を伴った美しさだ。

<イメージ>

 黒髪の総督―――― 三浦春馬

 奴隷の少女 ――― ???





にほんブログ村 小説ブログ 恋愛小説(純愛)へ


. 三浦春馬 イメージ小説 黒髪の総督――媚薬の花 七

人々は 息をのんだまま 身じろぎもならない。
その中を 総督は すべるように 
音もなく、こちらへ進んできた。

シャチ すっくと立つ 


私をねじ伏せていた兵たちは 速やかにその場に膝をつく。

私も また 全身を痺れの鎖に ぐるぐる巻きされたかのように
立ちすくんでいた。

聖獣に魅入られた反逆者の如く、総督の瞳の前では
血潮も固まってしまいそうだ。

さよなら アドルフから 怖い眼で立っている少女


やがて、ひんやりとする指先が、
私の頤(おとがい)を 持ち上げ―――

私は おずおずと 視線を当てた。

吸い込まれそうな 神秘な 黒曜石(こくようせき)の瞳。
黒髪の隙間から 見える、
碧い石と三日月の紋章の額の飾り。

青い石と三日月のペンダント


その黒髪の深い深い 漆黒の 夜の闇。
気難しげに 引き結ばれた、紅い唇。


その時、憎悪は 遠のいていた。

あまりにも 人間離れした、その容貌に、
度胆を 抜かれたのか………。

「この者を、城へ」

何百、何千年を生きてきたとは、到底、思われぬ
若々しい声が 響いた。


<イメージ>

 黒髪の総督―――― 三浦春馬

 奴隷の少女 ――― ???



にほんブログ村 小説ブログ 恋愛小説(純愛)へ


. 三浦春馬 イメージ小説 黒髪の総督――媚薬の花 八

”媚薬の花”は、その後、何日も色褪せることなく、
私のために用意された 豪華な 一部屋に 
咲き続けた。


シャチ ほっこり
ムラサキ花束


露帯びて、光輝き、永遠に咲きつけるのでは、とさえ 
思われた。
 

黒髪の総督の、私への寵愛のように……。

 彼は 片時も 私を離すことなく、傍らに置いて、全身全霊を込めた、
燃えるような視線で包み込み、大きな両の腕(かいな)の中に抱く。

 彼の、漆黒の長い髪、振り分けられた白い額―――

 未知の紋章に見つめられる時、
私はしばし、失念しそうになる。
 何のために 彼の傍近く あるのか、ということを。

 それほどに、めくるめく情熱の日々は 深く、果てしも無く
密やかに 陶酔の海を漂っていた。

桜の花の下で 見つめ合う ふたり イラスト


 装身具の触れ合う音と、白いしなやかな 腕と滝のような黒髪に
絡みつかれながら、部屋の一隅に 艶やかに咲き誇る
”媚薬の花”に 視線を投げてみる。

 そうすることで 、かろうじて 
自らの使命を心の奥から引きずり出す。


虹のあるファンタジックなお城



<イメージ>

 黒髪の総督―――― 三浦春馬

 奴隷の少女 ――― ???



にほんブログ村 小説ブログ 恋愛小説(純愛)へ




. 三浦春馬 イメージ小説 黒髪の総督――媚薬の花 九

私には 分かっていた。  奴隷の反乱が近いことを。
何故かは 知らぬが、私の心の中で  何者かが告げていた。


シャチ 横顔


 それは ”媚薬の花”を もたらした、
かの者の声かもしれないし、
 まったく 異なる神の啓示のようなものかもしれない。

 産まれて この方、触れたこともない、
吸いつくように滑らかな絹も、
存在さえ知らなかった 眼も眩むような 
宝石の数々も、そして、

ステラが 肩にすがるシャチ


強烈なまでの愛―――と、呼べるなら―――で、
包んでくれる王者をも、 私は喜んで捨てよう。


そのためにこそ、私は今、
征服者の腕の中にあるのだから。
そのためにこそ、私は奴隷小屋の中で 
生を受けたのだから―――。

水色 そで



 だが……。

 私は 視線を移す。
 側で、安らかな 寝息をたてている不老不死の青年の、
霧のような 睫毛に、眼は吸い寄せられる。

この瞼が いったん開けば、
私の決意は たちまち弾けて飛んでしまう。

泉の深淵のような 瞳に見つめられれば、
指一本 動かすことはできなくなり、

森の息吹のような 吐息を感じれば、
その呪縛は 心まで鷲づかみにするだろう。


もやの入った 春馬 アップ


彼に深い眠りが訪れている時に、反乱の兆しが 胸を貫いたのは
なんという幸運であったろう。

まだ、櫓(やぐら)の番兵さえ気づかぬうちに、
それを感じ取ることができたのだ。

 ついに来たのだ、その時が。
 城門へ急がなくてはならない。

「裏切り者~~~~!!」の罵声を浴び、
最初の槍に胸を刺し貫かれるために――

待ちに待った 使命を全うするために―――。

赤いドレスとカラス



<イメージ>

 黒髪の総督―――― 三浦春馬

 奴隷の少女 ――― ???



にほんブログ村 小説ブログ 恋愛小説(純愛)へ





. プロフィール

海道 遠(かなた)

Author:海道 遠(かなた)
小さい頃からお絵描き大好き
お話創るの、大好き
      ↓ 自然に
漫画家になりたい
      ↓
OLを退職。デザイン学校の漫画科へ入学
      ↓
家庭の事情で後、半年というところで退学、OLに戻る
      ↓
技量不足とひどい肩こり症のため、もの書きに転向
      ↓
結婚、妊娠、育児のブランクを経て再度ペンを持つ。
      ↓
が、コンクールに落ちる事、数知れず。
      ↓
諦めてアマの道へ

★著作★
 ペンネーム:海道 遠(かいどう かなた)
 「“海王の接吻”を抱きしめて」新生出版
 「CROSS」新風舎 
 共に全国出版、ネット販売しております。

★海棠結実(かいどう ゆみ) ペンネームで 

 【 遠雷去らず 】風詠社(鎌倉時代もの)
 全国ネット販売しております。
 

. お気に召したら1クリックお願いします♪
ブログランキング・にほんブログ村へ
. ☆初めてお越しの皆様☆


作品書庫(カテゴリー)からお入りいただくと、連載作品が第一回からお読みいただけます

. 作品書庫(カテゴリー)
. 相互リンク絵ブログ
島崎精舎さま
. 長崎祐子さま
. メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

. ☆当サイトバナー☆
Untitled2.jpg
. FC2カウンター
現在の閲覧者数: