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浪漫@kaido kanata

. 三浦春馬  短編 木の下闇の~~  その1

子どもたちが 歌っている。
 「かごめ、かごめ」
(聞いたことは あるけど、遊んだことはないな。
  古い遊びだもんな)

 (ああ、五月の風が 気持ちいい。 いつまでも 髪を乱されていたい。
 それにしても、遅いな、薫……)
 待ち合わせに 遅れたことのない 薫が来ない。

15年 横顔 見上げる 春馬

若葉の枝



 大きな欅の木に もたれていたが、離れて周りを見回す。

 風が 急に冷たくなって 空が 翳ったようだ。
「かごめ、かごめ……」
 まだ 聞こえるが 洋服もひるがえる強風に、子どもたちの悲鳴も聞こえる。

 枝が ザワめいて 何か 心に昏い陰が射した。

「後ろの正面、だあれっ!!」
 そこまで 歌が 聞こえた直後に 子どもたちの悲鳴が上がった。
「キャーッ!!」


 急いで駆けつけると そこには……そこには……
 変わり果てた 薫の姿。
 草原の上で 薫は 長い黒髪を乱して、水色のワンピースを蝶々のように広げて横たわっていた。
 そして その水色は どくどくと 溢れる昏い血の色に染められていた。

水色ドレスの美女



「君が 城山薫さんと待ち合わせしていたという、えっと」
「お決まりの 薄汚れた背広姿の中年の刑事が ふたり メモ帳を 手に 胡散臭そうに見上げた。
「藤崎 渡」
 うわの空で 答える。
 抱き上げた 薫は ぐったりと 白い喉を見せて 人形のようになっていた。
 あれよあれよという間に 担架で運ばれていった 白い布を顔にかぶせられた 薫だけが 
瞼に 焼き付いている。
 薫の身体に外傷は 無かった。
 刑事のしつこい質問から ようやく逃れ、薫が運ばれた 警察病院へと駆けつける。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 まだ 会ったことのない 彼女の両親と 妹らしき女の子が 取り乱していた。
「藤崎と申します」
 おずおずと名乗り出ると 母親らしき女が飛びついてきた。
「薫から あなたのことは 聞いていました。いったい あの娘に何があったんですか!?」
「会う約束をして 待っていたんです。遅いな~~と 思っていたら、急にこんなことになってしまって」
 薫の死因は 流産による失血だった。
 痛みだしてから ずいぶん 時間が 経過していただろうということだ。

15年 紺じゃけ 首に手をやる 春馬




 当然、薫の相手として 家族からも 警察からも疑われたが、まったく覚えが無い。
 だいたい、薫とは そんな仲には なっていない。

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. 三浦春馬  短編 「木の下闇の~~」 その2

 「え、何か 言った?」
 「ううん、ちょっと、口ずさんだだけ。『 かごめ、かごめ 』って 
 子どもの遊戯の唄……、わらべ歌……」

イラスト かごめかごめ


 ついこの前、薫と そんなことを 話していたことを 渡は 思い出す。

「かごめっていうのは かごに捕われている女のこと。
私って……本当は 籠に捕われて自由の無い人間なんだな、と 思うの」

 いつも 明るい薫の言葉とは思えない。
「何を言っているんだ、君はこんなに自由じゃないか。資産家の生まれ。何不自由なく 育ち、
好きな習い事をし、好きな学校へ進学してきて……」


「バカにしないで!!」

急に声を荒げて 薫は叫んだ。

ソフトブラウンの巻き毛が可愛い女の子



「私が 本当に 自由だとでも思って?好きな道を 進んできたと思って?」
「……」
「私なんか 生まれた時から かごめかごめの鳥よ。決められた生まれ。
決められた学校、友達、習い事……そして、決められた結婚相手……」
 可憐な下唇が 噛みしめられる。
「贅沢だと思ってるでしょ!!でも、どんなに 窮屈だか分かる?
分からないわよね、中学を出てから 自由奔放に生きてきた、あなたには」



 (本当に 分からなかった。俺は 本来 薫みたいなお嬢様と知り合うはずのない、ゴミのような 男だったから)
 ほんの偶然、 町の雑踏で 見かけた娘たち、グループとちょっと 遊んでやろうと思っただけだったが……)

 その夜は 男女三、四人ずつと飲んで騒いで別れただけだった。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 しばらくして、薫の通う大学近くで 会うことが出来た。
 あんな夜遊びするような 女の子に見えなくて 浮いた存在だったから。なんとなく気になったのだ。

11年 くらいの雑誌


「あら、あなた、この前の、えっと」
「ワタル」
「「そう、渡くんだったわね。尚人くんと仲のいい」
「尚人?」
「そう。私、彼とおつきあいすることにしたの。じゃあね」
 笑顔で 去っていった。


(尚人は 悪いヤツじゃないが 女には だらしないヤツだ。どうして、よりによって~~)
 とは、思ったが、案の定、薫から呼び出されて何度も グチを聞かされる羽目になった。

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. 三浦春馬  短編 「木の下闇の~~」その3

「何か聞いていたら、教えてくれないか。お姉さんが 何に苦しんでいたのか」
 渡は 薫の妹に 頼み込んで カフェへ引っ張っていった。

Tao みどり



 妹の若菜は 躊躇いながら、
「渡さん……ですね。姉から 聞いていました。どんな悩みも聞いて下さる誠実な方だと。本気で 心配してくださる方だと」
「でも……姉は ずっと 苦しんでいました。捕われの身だと」
「かごめ、かごめ だな?」

14 TCK まじめな 春馬

かごめで 泣く女


 若菜は コクンと頷き、
「思いつめていたのかもしれません。でも どうしても かごめの外へ出たかったのでしょう。
姉は 父の会社の取引先の御曹司との婚約が 決まりかけていましたが、それを破談にするために 
わざと子どもを作ったんです」
「ええっ!?相手は 尚人という男ですか」
「分かりません。何も聞いていません」

<かごめの外へ出ても、『鶴と亀がすべった = 瑞獣がいなくなってしまった』ので 明るい朝はやってこない。『 夜明けの晩 夜明けからすぐ夜になり、朝は来ない』 という解釈です>

「それに絶望して ただ縁談を壊すためだけの無茶な妊娠をしたのではないでしょうか。
そして 縁談が 無くなり 用無しになった子どもをわざと 流産……」

「わざとだって!?」
「そうとしか 思えません」若菜は 涙ぐんだ。「姉は何度も 家や公園の階段からわざと落ちたり、
鉄棒にお腹を打ち付けたりしていましたから」



「それは 多分……」
 渡の顔が 強張っていく。
「かごめを 出た代わりに 受ける罰を覚悟して……。死も覚悟していたのだと思います。
あんなに 緑のじゅうたんを 血で染めて……」

13年ごろ?青いセーター


「あんた、あの場所に来ていたんだな」
「はい。この生命力、溢れる季節に 小さな命を絶ってしまうなんて」
「俺は 思いあがっていた……。薫のグチを十分、聞いてやっていると思いあがっていただけで 
本当の苦しみを何も分かってやることが出来なかった」
 渡は テーブルに 拳を 打ち付けた。
「あの日、姉は 渡さんに 最後にお逢いして 今までお礼を言いたかったのではないでしょうか?
そうしたら 子どもたちのかごめが 聞こえてきて ふらふらと行ってしまった……」



「お礼……俺は 何も力になれなかったってのに。せめて 誰だか分からない 
流産するための相手の男の役目でもできればよかったかも」
「それは 渡さん、姉は あなたには 口が裂けても言えなかったはず。
子どもの父親は 誰でも 良かったの。
でも 親身な話し相手は あなたでなければならなかった…… そう思います。
姉に代わって お礼を申します」


Tao 笑顔


「若菜さん……」
「私、姉の分まで 生きていきます。私もかごめの中に捕われずに、しっかり 外の世界を自分で切り開いて」

 その瞳は 姉そっくりな 本来の明るい色だ。
 姉の閉じ込められていた 「木の下闇、かごめ」を脱した瞬間だった。

15年 半ずぼん 春馬

15年 浄水場

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. プロフィール

海道 遠(かなた)

Author:海道 遠(かなた)
小さい頃からお絵描き大好き
お話創るの、大好き
      ↓ 自然に
漫画家になりたい
      ↓
OLを退職。デザイン学校の漫画科へ入学
      ↓
家庭の事情で後、半年というところで退学、OLに戻る
      ↓
技量不足とひどい肩こり症のため、もの書きに転向
      ↓
結婚、妊娠、育児のブランクを経て再度ペンを持つ。
      ↓
が、コンクールに落ちる事、数知れず。
      ↓
諦めてアマの道へ

★著作★
 ペンネーム:海道 遠(かいどう かなた)
 「“海王の接吻”を抱きしめて」新生出版
 「CROSS」新風舎 
 共に全国出版、ネット販売しております。

★海棠結実(かいどう ゆみ) ペンネームで 

 【 遠雷去らず 】風詠社(鎌倉時代もの)
 全国ネット販売しております。
 

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