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浪漫@kaido kanata

. 「東夷 奔る」 第1回

   「東夷奔る(あずまえびす、はしる」


     序章

 吸い込まれるような蒼い空に鳶がゆるりと水の底へ潜っていくかのように螺旋状態に昇っていく。
(あんな高いところからなら、あたいの村(コタン)が見えるかもしれない……)
 眩しさに手をかざしながら、畑の上で見上げる少女の頬は、まだあどけない。
 とても肥沃とはいえない乾いた土地が、うねうねと続いている。


地平線 原野


 陽が落ちても、身体にまとわりつくような蒸し暑さは、薄らぐ気配もない。
 公家の屋敷が建ち並ぶ上の辺りを下ってくると、町並みは次第に寂れてくる。どこへ行くという宛てもなく景暁(かげあき)は、ふらふらと薄暮の中を歩き続けている。
 今夜はどこで寝ようか、などということを考える気にもならなかった。頭の中には、郷里の常陸の国の原野が懐かしく広がっているばかりだ。


三日月 夕暮れ

 やがて、糸のような三日月が西の空に浮かんだ。遠くで犬の遠吠えが聞こえる。
 草鞋の鼻緒が切れて、裸足になってしまった。
 昼間は物売りや、下層民の人通りの多い下町も、闇の中では、魔物が跳梁する。
 景暁には、時折、それら妖魔の囁きが耳のすぐ側で聞こえるような気がして、、また、漆黒の羽根に頬を掠められたような錯覚に、ぞっと身を縮ませる。


        第 一 章

 「おい、お前、」
綱代(あじろ)の塀を曲がりかけた時、いきなり背後から声をかけられた。振り返ると身分の低そうな、しかし体躯は逞しい男が立っていた。薄汚れた狩衣をまとってはいるが、だらしない。
「やはり、お前か。昨夜はこの重郎太さまによくはむかってくれたな」
 ヒゲ面の男は、不敵な笑いを浮かべながら、景暁を眺めた。
 思い出した。昨夜、景暁が仕えていた、中納言の屋敷に押し入った盗賊のひとりだ。ひどく腕のたつ男で、景暁も応戦したが、若いながら剛勇で知られていたというのに、、屋敷を護りきれなかった上に、中納言の妻のひとりまでさらわれてしまった。
 その処置のために、景暁は屋敷の警護を解任されたのである。今夜からの食い扶持を、盗賊共のために失ったのだ。
 しかし、怨みは無かった。どちらかと言えば、さんざん、東夷(あずまえびす)を馬鹿にして、こき使った中納言家の者たちの方に不満がつのってバクハツ寸前だったところだ。
「お前、なかなかホネのある奴だと見たぞ。まだ若いな」
「お前たちのおかげで主を失った。行く宛ても無い」
「東国の出だな。それでは、郷の者にも顔向けできんだろう。ついて来い」
 重郎太とかいう男は、踵を返して歩き始めている。
 やや迷ったが、景暁の足は、知らず知らず後をついていった。
 すっかり深夜である。
 板蔀(いたじとみ)が途切れた辺りで、重郎太の足は止まった。そこには、半分壊れかけた、みすぼらしい、しかし、大きい寝殿造りの屋敷が建っていた。ひと気など感じられない。
 重郎大がかまわず大きな門をくぐっていくと中の庭も、芒(すすき)や秋の野草が高く生い茂り、入り口も見分けがつかない。

ミズヒキ


「ひゅう~~」
 重郎太が唇に指をくわえて口笛を吹くと、雑舎らしき建物から紙燭(ししょく)を灯した郎党のひとりが走ってきた。
「これは、ご無事でお戻りを」
「どうせ昨夜の戦利品を並べて酒盛りの最中だろう」
「ははは、これは、お察しの通りで。おや、その者は?」
 小男は、重郎太の背後の景暁に気づいた。
「今宵から我らの仲間よ。なあ、若僧?」
「えっ」
(いつ、そんなことになったんだ、盗賊に身を落とす気は無いぞ)
 景暁は、若者らしく、唇を尖がらせた。
「まあまあ、もう、腹の虫が鳴く頃だろう?メシくらいは馳走してやるぞ」
 重郎太は高笑いして半ば強引に、奥へ引っ張っていった。
 寝殿から男たちのざわめきと、微かな灯りが洩れてきた。
 重郎太が大胆に木戸を開け放つと、一同が一斉にこちらを向く。
「これは これは 兄貴。どこへ行っておられた。さあ、座に着かれよ」
「昨夜の中納言の持っていた宝は、それ、そこに山積してござる。すごい収穫じゃ」
 そろってむさ苦しい男たちは、盃を手に手に、赤い顔をして、眼は虚ろ、すっかり出来上がっている。
「さらってきた女はどうした?」
「西の小部屋にっ閉じ込めてありますぜ。兄貴、味見しやすか」
「さっさと始末してしまえ。放免にでも、ここを嗅ぎつけられるとまずい」
 あまりにも呆気ない残虐な言葉に、景暁はぎくりとした。間違いなくこやつらは、盗賊だ。酒を注がれても、料理をあてがわれても、口をつける気にはなれなかった。
(そういえば、重郎太とか男、兄貴と呼ばれていたな?頭領ではないんだろうか?)


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. 「東夷 奔る」第2回

 来る日も、来る日も、三日とあげず盗賊たちは、公家屋敷を襲撃しては、戦利品を持ち帰った。そうして検非違使には決して気取られることはなかった。彼らのやり方は、それほど迅速で巧妙だったのだ。
 景暁も、自然と彼らと行動を共にする破目になった。
 やがて景暁は気づく。
 彼らの動きを闇に紛れて、じっと見守っている小柄な少年が、いつも同行していることに。浅黄色の水干に白絹の袴、いつも鬼の面を着けている。


はんにゃ面

 盗み、暴行行為には加わらず、検非違使の動向に注意をはらっているようだった。
 半壊した隠れ処に、やかましいほど秋の虫の啼き声が満ちる頃には、景暁は、すっかり盗賊の一員になってしまっていた。
 罪の無い人間をもはや、何人、手にかけたことであろう。
 屋敷に戻って、、井戸端で何度、血のりのついた手を洗っても穢れは取れないような気がした。
 忌まわしい自分の運命を呪った。
 人を斬る手ごたえが、まざまざと残る悪夢を見て、がばと起きると、盗賊らの高いいびきが響く雑魚寝の中だった。

             ※

 やがて、景暁は、気づく。
 寝殿の奥の小さな棟から雅な音が深更になると流れてくることに。
 簀(すのこ)に出ると、素足には、冷たく感じる頃になっていた。一度、あの雅な音の正体を探ってやろう、と、景暁は、暗闇の中、渡り廊下を進んでいった。
 雅な音は筝(こと)の音色だ。
 小さな棟からは、あめ色の灯りが、ちろちろと動いている。近づいて、簀(すのこ)伝いに身を潜めると、筝の音がピタリと止んだ。

筝

(気づかれたか)
 そう思ったが、中から女同士の話し声が聞こえてきた。
「姫さま、いかが なされました」
 年老いた女の声だ。それに応えて美しい女の声がする。
「のう、婆や、わらわは、このような身で生きていてよいものかえ。あの世へ逝かれたおとうさま、おたあさまに何と言い訳すれば良いのじゃ。この血のりで汚れきった身を……」
「姫さま、もう、そのことは思いつめられまするな。ご両親さま、亡き後、屋敷の中の調度や宝物は売りはらい、それでも食べ物に困窮し……ようやく見初めて下さった近江の少将さまも、西国に赴任され、音信が途絶え……姫さまが生きていくためには、その御身を穢れた男に売らねばならなかったこと、盗みを働かなければ方法が無かったことは、この媼(おうな)がよう解かっております」

よく聞く話だった。
 両親に先立たれた深窓の姫君は、生きていく術(すべ)無く、貧しさに身を落としていくことを。
(しかし、一転して、盗賊になるとは)
 これには、景暁も魂消た。糊口をしのぐために男たちを率いて盗みどころか、人殺しまでするとは。
(頭領は、鬼面をつけたこの姫だったのか)
 まだ少し開いていた重い扉の隙間から覗くと、几帳の奥に、豊かな黒髪が波打って流れているのが見えた。そして、その横顔は、臈長けてはいるものの、輝くばかりの美貌を湛えている。

すだれから見える十二単の裾

「たれじゃっ」
 鋭い声が飛んだ。老女が立ってきて、逃げる間もなく、扉を開け放った。いっぺんに香炉の香りが放たれた。
「そなたは」
「苦しゅうない、入ってまいれ」
 鈴の音のような女主人の声に、景暁は観念して言われるとおりにした。
「重郎太が連れ帰ったという東国の若者じゃな」
 姫は艶やかなで落ち着いた薄紅色のうちぎをまとい、歳若い姫君など足元にも及ばぬ女盛りの美貌である。
 ややきつい切れ長の目、口元。これが、都中の民から恐れられている盗賊の頭領なのだろうか。
「そなた、やや、あの方に似ている気がする」
「……」
「行方知れずになった良人じゃ。もう声色さえ、面影さえ忘れてしまいそうじゃ」
 姫が途方もなく哀れに思われた。
「そなたは、腕が立つ。くれぐれも役人には捕らえられぬよう」
それだけ言い渡されると、老婆が追い出すように簀へ押し出し、シワ深い顔をしかめて
「二度とここへ参ってはなりませぬぞ、よろしいな」
 そう言って木戸をぴしゃりと閉めた。
後になって景暁は知った。彼女が都を荒らし廻る「雷神姫」と呼ばれる大盗賊であることを。


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. 「東夷 奔る」第3回

 木枯らしの荒れようで今にも崩れそうな屋敷に虎落笛が吹きすさぶ夜だった。
「大変だ!後をつけられた!!検非違使の奴らに取り囲まれた!」
 下ッパの男が転がり込んできて、盗賊たちは総立ちになった。
 盃や瓶子は転がり、皆、手に手に太刀を持って屋敷を出た。
「頭領を誰か!」
 重郎太が叫び、その頃、知らせを受けた老女も雷神姫の男装を身支度させていた。
 景暁は姫の元へ馬を引いていくよう言われた。


馬シルエット

 彼女は慣れた様子で、逞しい青毛に乗り、老女は涙で見送った。盗賊共は闇の中を忍ぶように逃走し始める。屋敷はもう見捨てる覚悟だ。

小野小町 能面 老女

 町の外れにある雑木林まで、皆、そろって無事に逃げることが出来たが、検非違使の掲げる松明があちこちに見え隠れしていた。
雑木林の中で、重郎太が馬を止め、皆に叫んだ。
「ここで、皆、ちりぢりに逃げろ!もし、無事に逃げることが出来たら、七日後、満月が空の中央に昇る頃に、南の大門で落ち合うぞ」
 盗賊二十数人は、それぞれぎらついた眼で頷きあい、散っていった。
「おい、若僧」重郎太は景暁に向かって言い渡した。「姫さまを頼む。わしが行き倒れになってた時の命の恩人だ」
「あんたは?」
「検非違使の野郎たちの気をひいて、東へ向かわせる。この雑木を抜けたところに廃寺があるから、そこへ姫さまをかくまえ」
 言うなり、馬の尻にムチを当てた。
 景暁は、言われたとおり、廃寺目指して、芒の生い茂る雑木林の中を馬をひいていった。
 林を抜けようとした時、前方に男が数人、立ちはだかった。暗闇の中でも黒光りする太刀を腰に佩いている。
 朝廷の役人、検非違使である。
「雷神姫と見受けた!逃しはせぬぞ」
 姫は馬を下りた。景暁は、ぎょっと驚いた。
止める間もなく姫は長い太刀で次々に、検非違使を蹴散らした。
「さすが、女頭領じゃな」
 ひとりの長身のがっしりした壮年検非違使が、唸ったと同時に太刀を振り降ろし、姫の鬼面をお真っ二つに割った。家来のかざした松明に、斬った方も斬られた方も、目を瞠った。
「そなたは……」
 壮年の検非違使の男は、彼女を見て唇をわななかせた。
「そなた、玲子……?」
「い、いいえ!!」
 雷神姫は水干の袂で顔を隠すなり、景暁にも青毛に乗るよう言いつけ、自分もその背に飛び乗った。馬はムチを当てられて、林の奥へ逃げ込んだ。

雑木林 1

 何故か検非違使は追ってこない。
 三里も走ったろうか。馬を止めたとたん、姫は転がるように鞍から下りた。
「頭領!」
 景暁も急いで飛び降りたが、彼女は蒼白だった。
「あの人だ……。生きてらしたのだ……。いや!こんなわらわを見られとうはない」
 景暁の胸にしがみついてきた。
 先ほどの検非違使が、おそらく彼女を、昔、捨てたのかどうか、昔の良人であろう。
 林の中、銀色の芒を分け入ると、下草が枯れて、少し広い場所に出た。柔らかく朽ちた葉が山になっている。
 景暁は、彼女をその上に座らせ、筒を取り出して水を与えた。命の水を与えられ、激しい息づかいが治まってきた。
 かすかに東の空に明るさが滲んできたようだ。


夜明け 2

「景暁じゃったな」
「うむ」
「頼みがある」姫は素早く懐から小刀(さすが)を取り出し、青年の咽喉元に突きつけた。
「いや、命令じゃ」
「……共に死ね、と?」
「いや、そなたにまで命を絶てとは申さぬ。ただ……」姫は口ごもってから、相手の眼を見据えた。「わらわを抱け。身体の芯が疼く。焔(ほのお)のようじゃ」
「頭領……」
 言うが早いか、豊かな乳房を自らもみしだき、、景暁の手をつかんで懐に誘いこもうとした。咄嗟に手を引こうとした青年に、さらにぎらつく眼で迫り、
「さもなければ、この刃をその方の咽喉に食いこませる。時が無い!!早う!!……そして、すべてが終わった時、この太刀(さすが)で、わらわを刺してたも」
 懇願する、その形相は妄執の鬼だった。
 胸の奥で景暁の鼓動が轟いた。
「頭領」
「玲子じゃ」
 雷神姫は自ら若者の唇に朱唇(しゅしん)を押しあて、むさぼるように吸い始めた。
 まるで、熱い臓腑の一部だった。景暁は重なる唇から自分の臓腑が女の熱で溶かされていくような心地だった。苦なのか、快楽なのか、混乱する。熱は当然、飛び火する。たちまち溶岩となり、身体中を駆け巡った。
 頭上で夜明けの風がびょうびょうと、いっそう吹き荒んだ。
 その唸りが景暁をよけい昂らせた。追っ手が迫っていることも、林の中であることも、頭から消し飛んだ。
 雷神姫の大蛇のような長い髪は、青年の身体に巻きつき、絹の流れは惑乱を呼び、渦を巻いた
          
            ※


 茶色い病葉(わくらば)の上で、ふたりは、しどけない姿でぐったりとしていた。
 東の曙色の空に明けの明星が輝いている。
「さあ、わらわの咽喉をひと突きに」
 雷神姫は、ようやく起き上がり、景暁の手に小太刀(さすが)を握らせ、自らの咽喉へと持っていこうとする。
「頭領、某(それがし)には……」
(出来ぬ)と思った。雷神姫の顔には、満たされて幸せな女の表情さえ見てとれる。
「後生じゃ。昔の男に囚われとうなどない」
 姫が景暁の手首を引き寄せた時、
「おうっ、ここにいたぞっ」
 役人の野太い声がふたりを直撃した。
「すまぬ」
 景暁は、小太刀(さすが)を放り出し、姫を突き飛ばして馬に飛び乗り、疾風のように逃げた。


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. 「東夷 奔る」第4回

             第 二 章

今日も夜明けと共に労働が始まった。
 乾いた畑にまばらに貧弱な菜が生えている。長い冬を越えて春を迎え、やっと収穫できる貴重な食べ物だ。
 籠を背負って、菜摘に精を出していた少女は、少し腰を伸ばして周りを眺めた。一面の畑は遠く、青い山々に囲まれ、奴隷たちが無数に点在して働いているのが見える。


荒地 草ぼうぼう 1

 ここは 常陸の国。少女の名前は、ルモヤという。
 はるばる北の国、蝦夷から東夷(あずまえびす)の奴隷狩りに捕まって、連れてこられたのである。
 蝦夷の原住民、アイヌの風習で、口元と手の甲から肘にかけて独特の文様の刺青が彫られている。
「こらっ怠けるなっ」
 いきなり見張りの下級武士から腰を蹴られ、ルモヤは前につんのめって倒れた。せっかく摘んだ背の籠から、菜が飛び出してばら撒かれた。。
「ちょっと眼を離すとすぐにこれだ。とりわけお前は動きがのろいんじゃから、人の倍、働かんと晩飯は抜きだぞ」
「す、すみません」
 意地の悪い見張りの武士に、嫌な目に合わされるのは日常茶飯事だ。
 とはいえ、もう奴隷にされて二年近くにもなるだろうか。牛馬なみの扱いで辛い毎日であった。
 ルモヤは故郷に親が決めたいいなずけもいる。名前だけのいいなずけだが、時折、その逞しい面影を思い出さぬでもない。しかし、いいなずけは、ルモヤのことなどすっかり諦めて忘れていることだろう。
 のろのろと散らばった菜を拾っていると背後の畑の方で、何やらざわめきが起こっていた。
 奴隷たちが集まっている。すぐに見張りが走っていった。
「こら―――っ!!お前ら、持ち場に戻らんか!!」
 奴隷の人垣をかき分けていった見張り番の武士は、そこに一人の若者が倒れているのを見た。粗末な狩衣を身につけているが、全身土埃まみれで、ここで力尽きたというように倒れ伏している。
 烏帽子も無く、髪も乱れている。眼は疲れに落ちくぼみ、固く閉じられたままだ。
「い……生きてんのか?」
「今、さっきだぞ。西からよろよろと歩いてきて、ここで倒れたんだ」
 奴隷たちが取沙汰を始める。
「奴隷にしても、こんなんじゃ使いもんになるまいな。いや、もうくたばってるようだ」
 番人はペッとツバを吐き、さっさと若者死体置き場まで運んでいくよう命令した。
「お待ち下さい!!」
 飛び込んできたのは、ルモヤだ。若者の目元がピクリと動くのを見たのだ。
「この人はまだ生きてます!どうか助けてあげて下さい、おさむらい様!」
「なんだと、こののろまアマ、そんな口が聞けた立場か」
「お願いです、私の分を、この方の食事に廻してあげて下さい」
「ほほう」
 見張りの顔に好色なものが昇った。
 「そこまで頼みこむからには、それなりの覚悟ができてるんだろうな、お前のような蛮族の小娘でも」
 見張りは、明らかにトマムのまだ穢れを知らぬ身体目当てだ。
 ルモヤは苦渋に満ちた顔をしていたが、やがて睫毛を伏せてうつむいた。

             ※

 咽喉が灼けるようだった。焔でも飲んだのだろうか?
 閻魔大王に焼いた鉄ゴテでも咽喉に押しつけられているのだろうか?
 手指の先まで重くて力入らず、ピクリとも動かすことができない。
 助けを求める声も出せない。
 ……と、小さなひんやりした手が頭の後ろに当てられたと思うと、上を向かせられ、ふわりと柔らかいものが唇に触れ、冷たい水が流し込まれた。


水 クラウン

 二度、三度、四度……。臓腑にしみわたる甘い水だ。
 視界に見知らぬ少女の顔が、やがてはっきりしてきた。
「気がついたかい、おさむらいさん」
 景暁は、やっとはっきり目を開けた。横たわっている自分の周りにみすぼらしい老若男女が集まって見つめている。
「良かった、良かった、生き返ったぞ」
「ここ幾日もルモヤが介抱してやったおかげじゃ」
 景暁は天井を見た。藁造りの粗末な小屋の中らしい。
 命からがら歩いてきて、常陸の領地の入ったと思った後の記憶が無い。
 歩いてきた……旅をしてきた……いや、逃げてきた……どこから……?
(都からだ!)
がばと上半身を起こそうとして、とたんに激痛が全身を貫いた。


           ※

 芦原家の五男坊が都から戻ったぞ、という知らせは、すぐに旧豪族の本家に届いた。
 当主の景政、景暁の父が驚き怒り狂って息子を隣村の奴隷小屋から屋敷に運ばせてきた。
 どうにか、下働きの者によってたかって小ぎれいな着物に着替えさせられたものの、旅の疲れが全身にまとわりついている景暁だった。
 厳格な初老の父親と八人の兄弟が、座敷に居並んで待ち受けていた。


武家屋敷の前の桜の枝。

「景暁、戻りましてございます」
 緊張して、父親の前で、頭を下げた。
「都の中納言さまに勤仕(きんじ)しておるはずの、そちが何ゆえここにおる」
 父と兄たちの冷たい視線が突き刺さる。
「父上、わしはあんなところ、性(しょう)に合いませぬ。京の公家どもときたら、上品ぶってはいても、私利私欲に胆は穢され、性根が腐った者ばかりでございます。我ら、東夷(あずまえびす)など人間とも思うておりませぬ。犬猫の扱いをされ、何度、侮辱を受けたことか……」
「たわけっ!」
 父の怒号が広間をつんざいた。
 そちの兄たちは、皆、その奉公に耐え、修行を立派に終えて、帰郷した。じゃというのに、お前は、聞くところによると、中納言家を出奔した挙句、極悪残忍な盗賊の仲間に入っていたというではないかっ」
「ど、どうして、それを……」
「京の検非違使庁を軽く見るものではない。そちの行動など筒抜けじゃ」
「……」
 雷神党に仲間入りしていたことが、父親の耳に届いている。
「そちには東夷(あずまえびす)としての誇りが無いのか、芦原家にドロを塗りおって」
 言い捨てるなり、父親は忌々しげに立ち上がり、足音荒く、奥へ去ってしまった。他の兄弟たちも、末弟を白い眼で見下してから、散っていった。
「おぬしなど、一族の者でも何でもない」
 その視線はそう言っていた。
 五男坊という中途半端な立場は、気楽といえば気楽だが、景暁には幼少の頃から苦痛の種だった。兄弟は上から順に京へ勤仕させられ、二年前に自分も、京へ出立したのだ。
 しかし、高貴であるはずの方からは、嫌というほど、心の裏側を見せつけられ、その政界への地位への争奪戦は凄まじく、仕える者らは、さんざん罵られ、こき使われ、蔑まれ、東夷(あずまえびす)としての、伸び伸びとした気質は、木っ端微塵に砕かれた。
 雷神党に襲撃されて解雇されたのは、渡りに舟だったと思っている。


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. 「東夷 奔る」第5回

夕暮れ、小高い丘から常陸の田畑を見下ろしていると、夕陽に染まった薄黒い雲の中に、雷神姫の面影がよぎった。
思わず林の中に置き去りにいてきてしまった。
あの狂おしい情熱に、火傷しそうなのを感じたからだ。しかし、自分は、あの姫を愛していたのだろうか。ただの憐憫の情だけだったのか。
生き物のようにしなやかな黒髪の感触が、まだ首や腕にはっきり残っている。
あの後、あの女性(ひと)はどうなったんだろう。

牛車を見送る姫。



フジバカマ?



ガサリ、と音がして、笹薮に眼をやると、藍色の粗末な着物を着た少女が顔を出したところだった。
「おお。お前は」
「おさむらいさま」
 紛れもなく命を救ってくれたアイヌの女奴隷、ルモヤだった。
 蒼白で震えている。間を開けず、少女の背後から小柄で貧相な不精ヒゲの奴隷の見張り番人が現れ、ルモヤは景暁の背中に隠れた。
「む、これは、先日の芦原家の若殿でございますな」
 男は景暁に向かって、蔑みの笑みを浮かべた。
「行き倒れになるところを、この女に救われてようgざいましたな。さ、お前、逃げていないでこっちへ来い!」
「い……いやです!」
「今さら嫌も何も無かろうが。一回あったことは、二回も三回も同じ……」
「いやです、これ以上は、もう……」
 番人のさむらいの顔が、怒気で歪む。
「何か知らぬが、いやだと申しておるではないか。許してやれ」
 景暁が思わず口を出すと、番人は、向き直った。
「若殿、若殿は、この女がわしのものになることで命拾いいしたのですぞ」
「なに?」
「そのお命を引き換えに自らの身体をわしに与えたのじゃ」
「誠か?」
 景暁は驚いて背で震えている少女を振り返った。
 少女は何も言えずに唇を震わせ、視線を外している。
 おそらく番人の男が言うとおりなのだろう。
(だとしたら、この身は、この小さな奴隷少女のおかげで生きながらえているのか……)
「こっちへ来いと言ってるのが、分からんかっ」
 番人がずいっと一歩踏み出した時、景暁の拳は自分でも気づかぬうちに男のみぞおちを打っていた。男は何クソとばかりに太刀を抜いたが、それより早く景暁の小太刀(さすが)が、男の咽喉元に突き刺さった。男の身体は、笹薮の中に倒れこんだ。
「お、おさむらい様、このようなことをされては……あたいは杉江家の奴隷です。おさむらい様は、芦原様なのでしょう、杉江家とは、お仲の良くない……」
「だが、これ以上、そちを穢すわけにはゆかぬ」
 景暁は、ルモヤの腕をつかむなり、急いで丘を駆け降り、丘の下に繋いであった葦毛に乗り、少女も鞍の上に引き上げた。
 そして、ものすごい速さで畑を駆け抜け、原野を駆けさせた。山の端に陽が没してゆく

「おさむらい様、苦しくて……息ができない……」
 景暁の腰に必死でつかまりなあら、少女は風の中でうめいた。
 何里か駆ったところで、景暁はようやく馬を止めた。葦毛も苦しそうな息をして、身体からは、湯気をたてている。
 すっかり夜になってしまったが、空には、白い満月が煌々と輝いている。


ススキと月


 常陸の原野は、果てしなく白く広がっている。ふたりは鞍を下りた。
「早く戻らないと、ムチ打ち百の罰が待ってます」
ルモヤは半泣きだ。
「もう、戻らんでもよい」
「ええ?」
 景暁は、少女を抱き寄せ、愛らしい唇に、唇を重ねた。
「この唇が、わしに命の水を与えてくれたのじゃな」
「おさむらい様……」
 少女の刺青を施した白い手が、景暁の胸にそっと寄り添った。
「わしの名は景暁じゃ」
「カゲアキ……。あたいは、ルモヤ」
 月光の紗が、降り注いでいる。
 惹かれあった若いふたつの魂は、月読(つくよむ)の洗礼を受けて、溶けあうように結ばれた。

きゃあ☆





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. 東夷 奔る 第6回

            第 三 章

 口元の刺青がどうしても目立ってしまう。
 頭巾を深く被せて着物も、古着を手に入れ、村娘に見せかけた。
 葦毛の鞍に乗せ、口綱は景暁が引く。
 ふたりの旅は、北へ向いた。若い新緑の平原が果てしなく続く。
 ルモヤが自分の故郷、アイヌの地へ帰りたいと望んだからだ。
 アイヌ民族の住む海の向こうの大地……。それは都へ下っていった景暁にとっても、遥か遠い土地だった。

             ※

 春の陽気、爛漫の五月(さつき)には、ふたりは磐城の国の領内に入った。懸念していた追っ手の気配は無い。
 旅をするには、良い季節だった。
果てしなき原野は、淡い赤紫の蓮華草が咲き乱れ、街道らしき道らしきものの外れで野宿ばかりだったが、若いふたりは、春の星空を眺めながら伸び伸びと横になった。


花咲く丘

 景暁には、口うるさく、腹の立つ公家も父親も、追われて脅えなければならない検非違使もいない。
 ルモヤには、ムチを持った鬼のような奴隷番人もいない。
 お互い、心から安堵し、開放されていた。
 そして、信じあえる相手に巡り会い、心は確実に寄り添ってきている。
 うっとおしい頭巾を取って黒髪をふりさばくと、ルモヤは景暁の差し出す腕に、素直に頭を乗せ、ポツリポツリと始めた。
「あたいたちの住む土地は、ここ和人の住む土地と空気の色が違う。生きている獣、生えている木や花、風、川の水、みんなに天の神の国からある役目をいただいて、舞い降りてきて、姿かたちを変えてこの地上に住んでいるの。いちばん強い魂を持っているのは、火(アペチフカム)と水(ワッカウシカムイ)。あたいたちが生きていくのに、欠かせないもの。そんな中であたいたちは村(コタン)を作って生きている」
「火の神や水の神を祀るのは、わしらと同じようじゃが、少々違うのは……この大和に古くから広く根付いている『仏教』というものが無いのじゃな」
 景暁は少女の話を興味深く聞いた。
「畑で働きながら和人の生活を少しずつ知ったわ。言葉も覚えた。あらゆる神に供物を捧げてお祈りするのは、似ている。あたいたちの国にも死後の世界……天国と地獄も存在する。季節によって色々なお祈りやお祭もある」
「ふうむ、お前の国では、確か文字というものは、存在せぬのではないか?」
「うん、無いよ。その代わり、あたいたちは、この耳で聞いたことを絶対忘れない」
 少女の瞳がさらに輝く。
「文字なんかより、早くあなたに見せてあげたいわ。すべてのものが大きいの。山も河も獣……特にヒグマも、樹々も。何より大地そのものが」
 このいきいきとした少女を、そんな広い大地に帰したら、もう自分の胸などに帰ってこないのではないか。
 景暁の胸に、ふと、そんな思いが去来した。
 しかし、気づくと、少女は安心しきって青年の胸に頬をつけて寝息を立てている。
 その、あどけなさの残る笑顔を見て、景暁も安心して目を閉じる。
 野花の可憐な影が夜風にそよぐ平和なひと時だった。

           ※

 とはいえ、ふたりの旅は、決して楽なものではなかった。
 景暁が少々、持っていた金子も絶え、ルモヤの探してくる気の実や野草だけでは食に足りず、景暁は葦毛を売り払い、徒歩(かち)で北を目指すことにした。
 時には、農民に雇ってもらい、ふたりとも野良仕事に精力を出し、その糧で糊口をしのいだりしながら旅を続けた。
 肥沃でない土地を旅する時には、谷川の水や木の実だけで飢えに耐えたこともある。

キガラシと哲学の木

 やがて、陸前、陸中を過ぎ、ふたりの足には血豆がいくつも潰れて固くなり、草鞋(わらじ)は何足履きつぶしたことだろう。荒地もあり、山も谷も、道なき道を手を取り合って進んだ。
 ひとりでは、到底、続けられなかった旅である。
 景暁とルモヤは、一歩一歩進むごとにお互いの絆が強く結ばれるのを感じていた。
 見交わす視線は、
「もう、離れられない、この少女と」
「離れてなど生きていけない、この少女と」
 語らずとも通じていた。

          ※

 やがて、ふたりの目の前に、紺碧の海が広がった。
 景暁が生まれて初めて見る北の海だった。



濃い海

 蒼黒く横たわる海峡の向こうに、微かに見える大地は、アイヌの聖なる地だ。
 ふたりは喜色満面で険しい海岸の岩場を下り、小舟と船頭を雇って漕ぎ始めた。
 北の海にも真夏のじりじりした太陽が照りつける季節だった。
 蒼黒く横たわる海峡の向こうに、微かに見える大地は、アイヌの聖なる地だ。
 ふたりは喜色満面で険しい海岸の岩場を下り、小舟と船頭を雇って漕ぎ始めた。
 北の海にも真夏のじりじりした太陽が照りつける季節だった。


. 東夷 奔る 第7回

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サケ

村(コタン)では、秋ザケ漁の祈願(チヒプカムイノミ)が行われていた。
 すでに秋の気配が濃い。

アイヌ長老

 村長はじめ古老も居並び、男女も子どもも正装して座り、今年の秋ザケ漁が無事に豊漁であるよう、山のような供物が祭壇に捧げられ、祈りのゆるい言の葉が流れている。
 狩用の犬どもが、だしぬけに吠え始めた。

北海道犬とジジイと娘

 ひとりの老婆がいち早く立ち上がった。
 皆も驚いて振り返った時、老婆はもう、村の外れへよろよろと走り出していた。
「ルモヤや~~~~!」
 愛おしい孫娘の姿を見るなり、老婆は駆け寄って抱きしめた。
「お婆……」
ルモヤもたったひとりの肉親である祖母を抱きしめる。
「どうしたことじゃ、これは。和人に連れ去られたお前が、帰ってくるとは、河の神の恵みか」
 その頃には、村人も祈りをやめ、ふたりを見つめていた。
「おや、そのお方は、和人じゃな」
 老婆は、もの珍しげにアイヌの村落を見回しているルモヤの背後の景暁に気づいた。
「お婆、この人があたいを助けてここまで送ってくれたんだよ」
「ほほう?」
 村人たちが近づいてきて眺め回したので、景暁は固くなって立っていた。
「ルモヤだと!?」
 いきなり人垣が割れたと思うと日焼けした大柄な若者が叫んで飛び込んできた。ヒグマの毛皮を纏った筋骨逞しい若者である。やや赤毛の蓬髪と濃い眉、四角張った頬骨が男らしい。
「ワクイ……」
「ルモヤ、よく帰ったな!」
 若者は、小柄なルモヤを抱き上げようとしたが、少女は抗った。
「どうした、俺を忘れたか。お前のいいなずけのワクイだ」
「もちろん、覚えているよ。でも……」
 ルモヤの視線の先に、景暁を見つけたワクイの眼光が異様に鋭く光った。
 少女は敏捷に景暁の元へ走りよった。
「ルモヤ、お前、まさか……」
 ワクイは言いかけたが、村人たちが山だかりになって珍しい和人を見ようと押し寄せたので、引き下がらずを得なかった。

泣き顔照英



           ※

 アイヌの村(コタン)は、景暁の眼から見れば粗末で原始的この上なかった。
 その前に、この北の大地に舟から上がった時に、広大な自然に圧倒されて言葉にならなかった。
 果てしなく広がる銀の大地。吸い込まれそうな深い深い蒼穹(そうきゅう)、ルモヤの言っていたとおり、空気の色さえ異なって見える。
 森林を分け入って、何里も旅を続けると、ようやくルモヤの生まれ故郷の小さな村(コタン)に辿りつくことができた。
 村の家は、質素な藁造り。森を切り開いた空き地にいくつかの家が点在している。
 ルモヤは村の外れの中でも、貧相な家に祖母とふたり暮らしだった。
 孫娘を無事に連れ帰ってくれた恩をねぎらって、祖母は景暁を大喜びで迎え入れた。
 長旅で疲れ果てた着物の代わりにアイヌの着物を与え、ありったけの食材でもてなした。
 村人たちの白い眼、珍しげな眼もかまわず――――。
 白髭の長老は、黙認しているようで、静かに見守っていた。

           ※

もの珍しいアイヌの地の恵みの食料が目の前に盛られた。
「わしらにとって和人はヒグマより恐ろしい魔物じゃ。いやヒグマは神聖なものじゃが、和人は地獄からの使者じゃ。いきなり村(コタン)を襲い、働けそうな男や女、子どもまで多く連れ去ってしまう」
 老婆のまるきり解からぬ言葉を、ルモヤが景暁に伝えてくれた。


樹木 3

 実際、年輪を経て赤黒い皮膚の上に刺青を施した老婆は、景暁にとって自分たち和人と異なりすぎる風貌で、親しみを感じにくかったが、孫娘を連れ帰ってきてくれた感謝の気持ちは、充分、伝わってきた。
「あたいたちのご馳走よ。食べて」
 ルモヤと老婆が勧める皿を見ると、山で採れる木の実の他、ヒエ、アワ、キビなどの穀物もあり、一番のご馳走のクマ肉まで盛られていた。
 恐る恐る口に運んでみた景暁だったが、長くひもじい旅をしてきた身には、至極、美味で、ひと口食べ始めると、止まらなくなるほど、旺盛な食欲は、自分でも呆れるほどだった。
 その様子を見て、ルモヤと老婆が微笑みあったのは、言うまでもない。
 そのうち、笑い声まで外にもれ聞こえるようになった。
 藁造りのあばら家の軒下で、大きな身を潜めながら、歯がみしている男の姿がある。

           ※


「ルモヤ、わしは感じるのじゃが」宴が終わってから、景暁は切り出した。「あのワクイだ。お前の帰りを待ちわびてたんだぞ。いいのか」
「……あたい、親や長老が決めただけの、あの人、好きじゃない」


美月 2

 唇をかみ締めてそう答えただけで、後は口を噤んでしまった。
 景暁から逃げるように水を汲みに外へ出ると、大きな人影が立ちふさがった。ワクイだった。
「こっちへ来いっ」
 有無を言わさず大きな手で襟首をつかまれて、物置の陰へ連れていかれた。
「お前はたばかられているんだ、目を覚ませ」
「な、何のこと」
「あの和人のヤツだ。アイツがお前のことなんか本気で相手にすると思ってるのか。和人だぞ。俺たちのことなんか虫ケラとも思っていない。きっと罪人か何かだろう。それであっちにいられなくなって、お前を利用して、この地へ逃れてきたんだろう。そのうち、お前なんか飽きられて捨てられるのは、目に見えている」
「カゲアキは、そんな人じゃない」
 言い返すルモヤの真剣な目を見て、アイヌ青年の憤怒、嫉妬の念が、よけい燃え上がった。
「お前というヤツは……。子どもの頃から決められていた俺との夫婦になるという約束を破るのか!?」
「あたい、解かったんだ。そんなの決めるの、親じゃない。長老でもない、森の精霊や護り神でもない」胸をどん、と力強く手のひらで打ち、「自分の心が決めるんだよ」
 桶を持ち上げるや、さっさときびすを返して、振り向きもせず、泉の方へ向かった。

. 東夷 奔る 第8回

       第 四 章

 甲高い鹿笛(イパッケ)が森の中を突き抜けた。
 今日は村(コタン)の民、総出で鹿狩りの日である。
 女、子どもは鹿の群れを鹿笛(イパッケ)で森から追いたて、険しい断崖の海岸へ追い込む。追い詰められた鹿たちは次々に落ち、それを男たちが下で待ち受けていて、受け止めるのだ。


エゾシカ 群れ



 景暁は傍の岩の上からその様を眺めていて、その迫力に圧倒されていた。目の色を変えて駆け逃げてくる鹿たち。追い立てる女、子どもも生きていくための猟なのだから、必死だ。
 崖の下で、落ちてくる鹿を次々に受け止めた男たちは、慣れた手際で四肢を縛りあげていく。彼らの勇壮な掛け声。
 波の音に混じって届くそれは、まったく故郷の村人たちとは異なる人種だと感じざるを得なかった。
 鹿は全部で五十頭あまり、も生け捕れただろうか。

蝦夷しか 2

 すべての鹿を崖の下へ落とすと、女たちの中から大股で大地に立ち、笑顔で手を振っている少女の手が見えた。ルモヤである。
 陽光を全身に受け、生き生きしている。



 その夜は村(コタン)全体で鹿肉の宴が行われた。
 夜のアイヌの村は、かなり冷え込んでいたが、大きな焚き火が焚かれ、村人の熱気が寒さの精霊より寄せつけないようである。
 鹿の肉に、村人たちは、舌鼓をうち、宴は賑やかに行われた。
 もちろん、すべて食べてしまうわけではなく、厳しい冬に備えて食料としても、毛皮としても貴重に扱わなければならない。
 鹿肉もまた、生で食するのは、景暁にとって経験の無いことだった。少し戸惑っていると、いきなり肩に自分の髪が落ちてきた。後ろからルモヤがそっと近づき、髻(もとどり)を解いたのだ。
「な、何をす……」
「おさむらいさまの魂だって、怒る?」

アイヌ女

 少女は悪気などまったく無い様子で笑いさざめき、怒っていいものやら驚くやらで、ドギマギしている景暁の額に素早くアイヌの文様入りの藍色の布を巻いた。
「これは……」
「だって、変よ。婆ちゃんが作った着物をきているのに、いつまでも和人の髪を結っているなんて」
「それは、そうかもしれんが」
「似合ってる」
 周囲の女たちも、褒めそやした。
 正直、その場でむしり取りたい衝動に駆られたが、結局、大人しく言われるままにしていた。
 その恥らった様子を見て、また女たちが、手を打って笑うのだった。

           ※

寒さは日毎に厳しさを増してきた。
やがて風の精霊が荒れまくり小さな村は白い悪魔に閉じ込められる季節を迎えた。
 藁造りの粗末な家など吹き飛ばされるかと思うような夜を何度やり過ごしたことか。

雪原




 そんな夜は、小さなルモヤは、景暁の親鳥のような懐(ふところ)に治まるヒナのように、身を小さくさせ、寄り添ってきた。
 冬の精霊の鳴らすという太い笛の風の声が低く唸りをあげて、眠れたものではない。
「恐ろしくはないのか」
「怖いよ。いくらここで生まれて育って慣れてるとは言っても。いくら自然の神々があたいたちの味方だと思っても。でも―――」
「でも?」
「今はこうやってカゲアキの温もりに包まれているから平気」
 青年の手が艶々とした少女の黒髪を撫でた。そっと顔をうずめると、なんともいえぬ、北の地の香ばしい野生の匂いがした。



 やがて冬の神の咆哮が少しずつ遠のいていき、大地にも春の気配が偲びよってきているのが感じられるようになった。
ヒグマ猟である。
 早春に行われる。長い冬眠から目覚め、痩せ細って弱っているところを狙って仕留めるのだ。村人たちは、その日に備えて真冬の間に毒矢(スルク)作りから始めた。

 その頃には、景暁には、ふたりの村の青年が親しく話しかけるようになっていた。
 ひとりは長老の曾孫のシュモロで、もうひとりはルモヤの従兄弟だという、マッナロ、少し小柄だが、人なつこい眼をしている。
 どちらも言葉の通じないふたりの間に入って取り持ったのは、むろんルモヤである。
 始めの頃は、敵とも言える和人の青年に、どう接すればいいのか、戸惑っているふたりだったが、景暁のことを観察しているうちに、どうやら、この男は他の和人とは違い、本当にアイヌに溶け込んで生活しようとしていることを感じ取ったらしい。
「カゲアキ、これが矢に塗る毒のトリカブトの根だ。もう秋にたっぷり採ってきて冬の間、炉端で乾燥させてある」
 シュモロがやってきてトリカブトの根の束をぶら下げて見せた。
「あのムラサキ色の花か」

トリカブト

「そうだ。これを煮てグタグタにして、アカエイの毒針をすりつぶしたものと混ぜ合わせて矢やヤリの先に塗りつけ――――」
「ヤツの急所に、ズブリだ」
 と、横から言ったのは、マッナロだ。ふたりとも、猟を待ちきれずムズムズして瞳を輝かせる。
 ヒグマは、彼らにとって貴重な食料源であり、毛皮もそうであるが、頂点に立つ神聖で崇拝すべき存在であった。


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. 東夷奔る 第9回

アイヌの家
 まだ残雪も浅くない時節に、いよいよヒグマ狩りが行われた。
 準備万端、整えた男たちは、毛皮を着込み、獣の皮で作られた靴を履き、手に手に矢やヤリを持ち、ヒグマを仕留めることだけを目指して気の入った息込みようである。
 冬眠から目覚めたヒグマは、飢えて気が荒くなっている。景暁がまだ経験したことのない、海辺での海獣狩りに劣らぬ、命がけの勝負である。
 景暁も、シュモロとマッナロに半ば強制的に連れ出された。
「それ、これがお前の矢とヤリだ」
 シュモロが例の武器を持たせた。
 景暁も手伝って作った毒矢(スルク)である。矢を放つことは慣れていたが、クマを相手になど、無論、初めてのことだ。
 ルモヤは景暁の身支度を手伝ったが、ヒグマの猟に出るほどアイヌの村人として馴染んでくれた嬉しさと、心配がない交ぜになった複雑な表情をしていた。
「カゲアキ、大丈夫?」
「行けと言ったのは、お前ではないか」
「そ、そうだけど……。気をつけてね、ヒグマは恐ろしい獣よ」
 少女の漆黒の瞳は心細そうだ。
「お前らしくないぞ、ルモヤ。なんならお前も行くか」
 景暁は白い歯を見せて笑った。
「もう、あたいが、こんなに心配してるのに」

ヒグマ 1


 十数頭の犬が風のように緑まばらな銀世界を疾走していく。
 ヒグマの巣は険しい沢の斜面にある。
 村の男たちは、すでに狙う獲物の巣の場所を心得ている。
 壮年と青年たちの集団は、巣穴目指して道なき道を進んでいく。
 景暁は、男たちの最後列についていったが、それに遅れてひとりの男が連なってきていることに気づいてはいなかった。
 眼光を憎しみで滾らせたワクイである。
 彼はこの半年の間、ずっと物陰から、景暁とルモヤの様子を窺っていた。
(ルモヤは俺のもんだ。あの和人め。のうのうと村に入りこみやがって、今日こそぎゃふん、と言わせてやる。いや、ぎゃふん、どころか―――)
 嫉妬の醜い炎が濃い眉の下の眼の中で燃え盛っている。
 斜面の巣穴にたどり着いた一行は、じりじりとヤリで攻め立て、ヒグマの誘い出しに成功した。
 轟く咆哮に、景暁は度肝を抜かれてその場に立ちすくんだ。

 遥か向こうに、鬱蒼と茂る山の樹々の陰から、大きな赤黒い獣が見えた。生まれて初めて見るヒグマだ。人間に驚かされて猛り狂っている。
「ありゃ、デカいな、オスだ」
 シュモロが言うなり、舌舐めずりしてヒグマの方へ近寄っていった。マッナロも負けじと続く。
(常陸の国で時々、見かけた黒クマとは別の獣のようだ)
 ヒグマは沢から、犬に取り囲まれながら、谷へ下りていき、男たちもそれを追った。谷川が深い翠(みどり)の水を湛えて淵に渦巻いている。

峻険な山々

 ヒグマが進んでいった先には、大きな滝壷があり、そこで立ち往生した。
「獲物が逃げ場を失ったぞ!!」
 男たちの意気が上がり、ヒグマぎりぎりにまで迫った。
 次々に毒矢(スルク)が放たれた。が、ヤツにとっては、何ほどのこともない。
 立ち上がり、犬たちを威嚇して近寄らせようとしない。
「よし、俺が」
 シュモロがずい、と前へ出て、太い弓に毒矢をつがえた。
 逞しい腕から放たれた矢は、ヒグマの咽喉元に見事に突き刺さった。

矢。

「やったぞ!!」
 ヒグマは立ち上がったまま、動きを止めた。
 村人たちもごくりとツバを飲みこんで時が止まったように見えた。
 次の瞬間、ヒグマは口からヨダレを垂らしながら、咽喉に突き刺さった矢をいとも簡単に大きな前足で払いのけ、折ってしまった。
 そして、村人たちに向かって突進してきた。
「うわあ、化け物だ!」
「毒矢(スルク)が効かん!!」
 男たちは慌てて茂みへ這い上がったり、谷川に飛び込んだりして逃げ惑う。
 皆に遅れて沢へ下りてきた景暁は、呆然とその様子を見ていた。足が震えて動かない。正直、あの巨大な獣が恐ろしい!!
 逡巡する間もなく、背中から強く突き飛ばされて水辺へ転がり落ちた。ヒグマが迫ってきている。
 命がけで、人間どもから逃れようとしているヒグマは、目の前に転がってきた人間に、襲いかかろうとした。
 景暁の視界にすでに正気のかけらもない獣の瞳とナマ臭い大きな口腔がいっぱいに映し出された。
「カゲアキ、ヤリだ!!」
 シュモロか誰かの声が聞こえたが、もう景暁には態勢を立て直してヤリを構える余裕など無かった。
(終わりだ―――)
 思った瞬間、岩のような重いものが身体にのしかかってきた。真っ暗闇だ。景暁には、何が起こったのか判らなかった。
(あまりに重くて息ができん……。ということは、わしはまだ生きているのか?)
 やがて男たちの声が近づいてきて、身体の上にあった重いものがどけられた。ヒグマの巨体だった。
「大事ないか、カゲアキ」
 シュモロが身体を支えて起こしてくれた。
「むむ……どうにか」
「シュモロがコイツの背中にトドメのヤリをぶちこんだんだ」
 マッナロもやってきて眼を輝かせた。シュモロが相好を崩して力強くうなずく。
「なんと礼を申してよいか、解からぬ。シュモロ」
 心の底から、景暁はそう思った。
 口から泡を吹いたままの大きな獲物は、手早く縛り上げられ、村へ運ぶ用意が始まっている。犬たちは興奮おさまらず、まだまだ吠えまくっている。

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. 東夷 奔る 第10回

 帰路、男たちに担がれたヒグマの後に従って、列は村へ向かった。
「カゲアキ」
 シュモロがそっと傍へ寄ってきて囁いた。
「俺は見ていた。お前を森の神の前に突き飛ばしたのは―――ワクイの奴だ」
「……な、なんだと」
「どうやら雲隠れしたようだな。アイヌの民の風上にもおけぬ奴め。俺がこの眼ではっきり見ているから、長老に言うて裁いてもらおうぞ」
 確かにあの時、背中を誰かに突き飛ばされヒグマの前に転がった。
(しかし、村の勇者と言われていた、あのワクイが?)
「アイツはルモヤのいいなずけとして幼い頃から親と長老に決められていたからな。お前のことを恨んでも不思議はない」
「だからというて、正々堂々と勝負せずに姑息な手段に出やがって」


徹平 1

 言い添えたのは、小柄なマッナロだ。
 針のようにそびえ生える森林の上に小さく夕空が見える。そろそろ頬に受ける風は、突き刺さるような冷たさを含んできた。まだ本当の春は遠い。
(待てよ、ワクイをそこまで追い込み、貶めたのはこのわしではないか……)
 胸中、複雑に惑乱せずにいられない。


           ※


 いつもは厳しい中にも、穏やかな白眉の下の老人の眼が険しく光っている。村の広場、中心のいつもは祭事が行われる場所に、ひとりの男が後ろ手に縛られて座らされている。
 ワクイである。
 周囲には、数十人の村人が固唾を飲んで見守っている。
 空は日暮れから曇り、早春の雷がどろどろと地面を這うように響き、下界の人間たちに向かって怒っているようである。
 またしても、人間どもの、ちっぽけな醜い争いが始まったと―――。
「ワクイよ」
 長老が胡坐(あぐら)をかいたまま、重々しい声で呼んだ。
 ワクイは周囲の人間を残らず怨みを持った眼で睨みつけていたが、呼ばれて長老にも、憤怒の眼を向けた。
「お前が何故、そうやって、そこに縛られて情けない姿を晒されておるか解かるか?」
「……皆、よってたかって俺をこんな目にあわせやがって。いったい俺が何を」
「言わねば解からぬというのか、よく己の胸に尋ねてみよ」
 長老の眼が、カッと見開かれ、村人一同、びくりとなって、後ろへ下がる。一同の端で、景暁とルモヤも身を寄せ合いながら、事の成り行きを見守っている。
「解からぬわっ。俺はそこにぶら下がっている大地の神、ヒグマに賭けて誓う。こんな目にあわされる覚えは無いっ!!」
「では、言うてやろう。お前はルモヤを助け、連れ帰ってくれた恩ある和人の男を殺そうとしたであろう」
「ふん、何を証にそんなことを」
「まだシラを切るかっ」
 長老の怒号が森に響き渡った。合図によって、シュモロとマッナロが前に出てきた。
「この者たちが、しかと見ていた。お前が和人の男をヒグマのエサにしようとしたことをな」
「………!!」
 ワクイの爛々と光る両眼は、憎しみを抑えきれずシュモロとマッナロに向けられた。
「間違いない、長老」シュモロも厳しく言った。「こいつは、していけない大地の神の逆鱗に触れるようなことをやったんだ!」
「ど、どこにそんな証がっ!!」

照英 2

「見苦しいぞ、ワクイ」長老はおぼつかぬ、それでも威厳を持った姿で立ち上がった。「お前は村の中で一番の勇者。わしの誇りじゃった。じゃから村一番の器量良し、働き者のルモヤをいいなずけに決めてやったというに」
「だからだっ!!」
 青年の眼がいっそう血走った。そして、それは、景暁に向けられた。
「あの和人は、俺の大切なルモヤを横取りしやがったんだ!だからヒグマの生け贄に差し出したまでのこと。それのどこが悪いっ」
 村人たちはざわめき、景暁の方へ視線を走らせた。
 景暁の全身を貫いたのは、恐怖感とも怒りともつかぬ感情だ。
「カゲアキ……」
 小刻みに震えるその手をルモヤが力強く握りしめた。
 長い沈黙が流れ、稲妻の閃光だけが、時々不気味に薄暗い空に閃く。
 景暁の足が一歩前に踏み出された。自分でも意識の無いうちに言葉が放たれていた。
「和人であろうが、アイヌの民であろうが、そのようなことは関係ない。このルモヤはわしの命同然だ。貴様には殺されても死にはせぬ」
 ワクイは憤怒のあまりうめいて立ち上がろうとしたが、屈強な男たちに押さえつけられた。
 長老が告げる。
「命令を下す。ワクイ、お前は村(コタン)を去れ。二度とこの村に足を踏み入れることは、わしが許さぬ」
「なんだと、長老っ」
「これでも処刑を免れたことだけでも、助かったと思い、感謝するがよい」
「ぐっ……」
 いきなり大地に霹(いかずち)鉄槌を下すかのように衝撃が襲い、滝のような雨が落ちてきた。


新・雷


 村人たちは、全身ずぶぬれになろうが、その場を立ち去る者はひとりもいない。
 両側からがっしりと屈強な男たちに身体をつかまれたワクイは、力まかせに立ち上がらせられ、連れていかれようとした。
「放せっ、 何をしやがる、お前たちは和人の肩を持つのかっ!長老、あんたもどうかしちまったんじゃないのか。和人は俺たちの仇敵だ!!あんたがそれを一番よく知っているはずだろうがっ」
「ワクイよ、アイヌの神がお怒りじゃ。それが解からぬようでは、出ていってもらうしかない」
 老人は、クルリと背を向け、若い者たちに手を貸されながら、自分の家の方へ戻っていった。
 その際に、側の重鎮に、眼で合図するのを忘れなかった。
 その男がのっそりと、ワクイの前に立った。
「長老のご命令じゃ。二度と、森の神を裏切らぬよう、悪さをした、その右腕を肘から落として、ヒグマへの詫びのお供えとする」
 ワクイの額からどっと汗が噴出した。
「待てっ放せっ!!クソォ、この怨みは忘れんぞ、もう和人だけじゃない、お前たち、村(コタン)の者、全部を怨んでやるからな~~~~っ」
 断末魔というような、ワクイの声は、森の奥でようやく鎮まった。不気味な静けさだった。多分、供物として、腕を落とされたのだろう。
「カゲアキ……」
 ルモヤは溢れる涙を堪えきれずに泥だらけになった地面に両手をついてうずくまった。
「ごめんなさい……。あたいのために命まで危なかったばかりか、こんなことになってしまって」
「お前が謝ることはない」
 景暁の眼はワクイが連行された森の奥へ向けられたままだ。
(感傷などに浸っている場合ではない。あの男は必ず復讐を仕掛けてくる)
 景暁の心の奥で武士(もののふ)の持つ勇ましさが盛んに揺れ動いていた。


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. プロフィール

海道 遠(かなた)

Author:海道 遠(かなた)
小さい頃からお絵描き大好き
お話創るの、大好き
      ↓ 自然に
漫画家になりたい
      ↓
OLを退職。デザイン学校の漫画科へ入学
      ↓
家庭の事情で後、半年というところで退学、OLに戻る
      ↓
技量不足とひどい肩こり症のため、もの書きに転向
      ↓
結婚、妊娠、育児のブランクを経て再度ペンを持つ。
      ↓
が、コンクールに落ちる事、数知れず。
      ↓
諦めてアマの道へ

★著作★
 ペンネーム:海道 遠(かいどう かなた)
 「“海王の接吻”を抱きしめて」新生出版
 「CROSS」新風舎 
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★海棠結実(かいどう ゆみ) ペンネームで 

 【 遠雷去らず 】風詠社(鎌倉時代もの)
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