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浪漫@kaido kanata

. 三浦春馬 SS 眠れる城の貴公子  その1

 

逢魔が時の、ある城の廃墟―――。
老若、貧富の差など あらゆる 女が 集まってきていた。


夜のローマ


門前の木札に書いてある 文句は 

「城の奥に、眠りについている 貴公子に 接吻して、
目覚めさせることができれば 貴公子は 貴女のもの。
しかし、この世で 一番の醜い女でなければならぬ」

はるま 寝顔


 女たちはたじろいだ。
「この世で 一番の 醜い女って!?」

 突然、辺りが まばゆい光に包まれ、バサバサと大きな 羽ばたきの音がした。
 女たちの前に 黄昏の空から舞い降りたのは 大男の悪魔だ。
 人間の倍は ある。
 頭からは にょっきり 厳めしい角を二本、生やし、眼は鋭く、煌々と輝き、
口はワニのように 耳元まで裂けている。

青い大魔王 ルシファー


 地獄からの 響きのような 獣の咆哮かのような、おぞましい声が言う。

「資格試験を行う。選ばれたければ、ひとりにつき金貨100枚を持ってこい。
そして、一番 醜くなければ 貴公子に接吻する資格はない」

「えええ~~~~~!?」と、女たち。「金貨、ひゃ、100枚!?そんな無茶な!!
父ちゃんが 何年も 働いたって無理だわ、そんなの!!」
「無理なら それまで」
「どうして こんな資格なんて……」
「なに、ほんの座興さ」

 悪魔の嘲笑に、女たちの闘争心は よけい燃え上がった。
 女たちは 家に帰って、化けメイクに 一生懸命。そして、ありったけの金を借りに奔走し始めた。
 まるで ゴーゴンのような 恐ろしい形相で。

ゴーゴン 1


「世にも美しい あの貴公子を 自分のものにできるのなら、世間の笑いものになったって、
世界一、モテない女になったって かまやしないわっっ」

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. 三浦春馬 SS 眠れる城の貴公子  その2

 色鮮やかな 花々に 囲まれた 寝台に、昏々と眠る貴公子は
 天上の美神に嫉妬されて 矢で 胸を射ぬかれ、眠ってしまったという。

 彫刻のような 横顔、漆黒の髪。
 彫の深い目元が 紫色の影をつくって 神秘的だ。

 やや 大きめの唇は 薔薇のように赤く、引き結ばれている。
 純真さが にじみ出ている。

お昼寝 はるま
(どう見ても お昼寝)

さて、何日か 経ち、醜い女に化けた女たちが ぞろぞろと 行列を作った。
しとしとと 長雨が 続き、陰鬱な昏い街。

 それも 陽も沈んで すっかり 闇が 辺りを覆い始めた頃。

 貴公子は 得体のしれない 礼拝堂のような 廃墟に 安置されている。
 その周囲を 何十本もの蝋燭が 火影を揺らせている。

レトロ蝋燭


 人間離れした美貌の、貴公子の瞼が 妖しいまでに 妖艶だ。

 雷が 地を這うように 鳴りだし、滝のような 雨が降ってきた。
 と、ものすごい 雷の柱が 地面に突き刺さる。

aoi.jpg


醜女試験が 始まった。
女や 少女たちは まるで何千歳もの老婆や 妖怪に扮装してきた者など、さまざまである。

貴公子の 傍らに 腕組みしている、黒い悪魔が 口を開いた。

「この男は これほど 美しい顔立ち、姿をしているが、
実は 幼児を何人も残忍な殺し方をした 殺人鬼なのだ」

 女たちが ざわめく。

「ま、まさか……」

「人間を 見た目で 判断しては ならんぞ、女たちよ」

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. 三浦春馬 SS 眠れる城の貴公子  その3

懐から 古めかしい 短剣を 取り出した悪魔は 顔の上にかざして 蝋燭の炎で 光らせた。

古い短剣 1


「この眠る美しい男の喉元に これを突き立ててみよ」

「ええっ、また 何を!!」

「接吻ごっこは 戯れ事だが、これは 本気じゃ。それだけの罪を 受けて余りある殺人鬼なのだ。
この男は。こやつのために どれだけの 母親が 泣き叫び、絶望して自ら命を絶ったことだろう。
この我……闇の世界に棲むものにも 許しがたいほどの罪びとなのだ」

 女たちは 化粧の下で 真っ青になった。

「それでも この男に 接吻したいか??接吻したとたん、
自らは 最低最悪な男と同じ、地獄の者と成り果てるだろう」

 ひとりの女が、
「そんなこと、信じられないわ!!この、神より 美しい人が 
幼児殺しをしたって証拠が、どこにあるのよ!?」


14年 カレ メイキング6



「証しか?しっかりとあるぞ。見たくば、見ればよい。ただし――――、正気でいられるかどうか、我は知らぬぞ」

「いったい~~??」

「この城の地下に…… 数えきれぬ 何かがあるとしたら?」

「まさか」

 女たちは 額に脂汗が伝うのを感じた。
「そうだ。この男が 食い散らかした 幼児の身体の骨が 山となって……」

骸骨の山 2



「ひいっ!!」
蜘蛛の子を散らすように、女たちは 我先に、と 逃げていった。


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. 三浦春馬 SS 眠りの城の貴公子  その4

壁の燭台の蝋燭が ゆらゆらと飛んできた 蛾を餌食に、ジジジと 燃える。


うすい 黄緑の蛾



 冷えた 床の上に ひとりの少女だけが 残った。
 突然、耳をつんざくように 雷が バリバリ鳴った。同時に 天から滝が流れるような雨も。

「それなら!!」少女は 絶叫した。「その青年にきいてみたい。何故、そんなことをしたのか」

 顔面に デコボコと何か 貼り付けて 醜い女になりすました 髪はぼうぼう、ボロきれの布を まとっている。

金属仮面の女

 
「ほう?」悪魔が 組んでいた腕を解いて 少女を見つめた。「お前、名はなんと申す?」

「ド……ドミニク」
「ドミニク。では お前は この青年を目覚めさせる自信があるのか?」
「無いわ。やってみないと。でも、よほど 深いわけがあるに違いないわ」

 悪魔は 大きな手のひらで 短剣を差し出した。
 ドミニクは しかし、それを 即座に払いのけた。
「要らないわ。目覚めさせなければ 真相は 分からないもの」

 そして 貴公子に近づくと 自分の顔の醜い変装を ボロボロと剥ぎ取り、彼の傍らに跪いた。

 本当の顔を さらけ出したドミニクは、滝のように溢れ流れる 栗色の髪、
白磁の肌に薄紅の 頬、ラピスラズリのごとき瞳。


青い眼の美しい女


 貴公子の顔を 両手で包むと、その唇に負けない紅さの唇を重ねた。

 息をのむような 静寂が流れた。

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. 三浦春馬  SS 眠れる城の貴公子  その5(最終回)

「これは……」
 ドミニクは 顔を離して、後ずさった。

 接吻したとたん、ドミニクの目の前から 貴公子は 雲散霧消、まさに 霧のように 搔き消えてしまったのだ。

 少女は 悪魔を仰ぎ見て、答えを待った。
「小細工が バレたか」
 皮肉な 笑みが その恐ろしい口元に 現れた。
「どうして こんなことを」

「もちろん、お前たち、愚かな 女たちから 金を巻き上げて罰を与えるためさ。いや、お前たちの 醜い心を思い知らせてやるためさ」

 ドミニクは 立ち上がり、キッと 悪魔を睨みつけるや、歩み寄った。
 その前に立っても 少女の背丈は 悪魔の胸の辺りだ。
 しかし、少女は そのおぞましい首筋を 両腕で捉えるや、焦げた顔面を引き寄せ―――、
裂けた口に 唇を押し当てた。


悪魔の頬のうろこが ひとつ、ポロリと落ちた。
 ~~~と、思ったとたん、うろこは 次々と剥がれ落ち、凶暴な角まで ぼろりと折れて、床の上に ガランと落ちた。

 うろこの 剥げ落ちた 下から 現れたのは世にも稀な 美貌の青年の顔だった。

14年 はるま 2つ


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

「ありがとう」

清らかな よく響く声で 青年は言い、ドミニクを抱きしめた。

プリ ラス1


青年の胸は ドクドクと脈打ち、甘やかな花の香りがした。

青い薔薇



「悪魔に 矢を射られて 操られていたんだ。どんな障害があっても どんな目くらましがあっても、
心のこもった接吻をしてくれる人を探していたんだ。助けてくれて ありがとう、ドミニク」

「私に お礼を言う筋合いは 無いわ。あなたを独占したくて
欲にまみれて変装して悪魔の言いなりになってやって来たんだもの」

「しかし、私の濡れぎぬを 晴らそうという気持ちになってくれた。
君の心は欲になぞまみれていない。愛にまみれているんだ」

ドミニクはとんでもない、と 言いたげに はにかみながら 首を横に振った。

「貴方は きっと 悪魔に嫉妬されるほど 美しい心の持ち主なんだわ。どんなおぞましい姿でも 眠っている殻の貴方を見て、全てが分かったから――――。本当の悪魔は あんな 角や翼や裂けた口なんか、チンケな 姿をしてやしない。普通の人間の心の中に棲んでいるのよ」

「嫉妬や 殺意ほど 恐ろしいものはない―――― それが本当の悪魔だ」
「ほらね。そんな事を言える人が 人殺しなぞできるわけがないわ」

「空も 大地も 貴方が 甦ったことを祝福してくれている。
眠る姿の貴方は 天使のようだったわ。あれが 貴方の真の心だと 貴方が消えた瞬間に 判ったの。
そして 助けなければ、と 思った……」

 いつのまにか 激しい雨もやみ、薔薇色の暁の空が 心に沁みる。

「貴方の名前は……??」
 尋ねておいて、ドミニクは 青年の唇に 指を当てて、止めた。

チャイナ美女


「いえ、言わないで。わかるわ。この空の色と同じ色の名前ね。春の女神が祝福する名前ね」
 少女は 暁の薔薇色のように 頬を染めた。

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. プロフィール

海道 遠(かなた)

Author:海道 遠(かなた)
小さい頃からお絵描き大好き
お話創るの、大好き
      ↓ 自然に
漫画家になりたい
      ↓
OLを退職。デザイン学校の漫画科へ入学
      ↓
家庭の事情で後、半年というところで退学、OLに戻る
      ↓
技量不足とひどい肩こり症のため、もの書きに転向
      ↓
結婚、妊娠、育児のブランクを経て再度ペンを持つ。
      ↓
が、コンクールに落ちる事、数知れず。
      ↓
諦めてアマの道へ

★著作★
 ペンネーム:海道 遠(かいどう かなた)
 「“海王の接吻”を抱きしめて」新生出版
 「CROSS」新風舎 
 共に全国出版、ネット販売しております。

★海棠結実(かいどう ゆみ) ペンネームで 

 【 遠雷去らず 】風詠社(鎌倉時代もの)
 全国ネット販売しております。
 

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